都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

女の国会

国会議員に女性が少ないというのは周知の事実ですが、地盤・看板・鞄の三拍子を考えたときに、まず、世襲議員のカベがあります。地盤ということで言えば、地域組織のリーダーが求められ、地方議員なんかもその座を狙っています。この地方議員の上の方は男だらけです。知名度が大切な看板は、芸能人やアナウンサーなどテレビで顔が売れてるってことが大事だけど、医師や弁護士などの肩書も有効で、ここも男社会。そして、資金力を意味する鞄については、まさに男性専科。お金持ちの女性もいるんでしょうが、それは世間が許しません。

つまり、政治を志す女性だって、決して少なくはないにもかかわらず、世の中の多くの組織が男性中心なので、予選の段階でエントリーされておらず、分母が小さいのでどうにもならないというのが実態です。

小選挙区制度では、基礎票固めをすることが必須なので、政党組織に頼らざるを得ず、党の公認を決めるのは県連で、ここの常識を変えられなければ男性優位の構造を崩すことができないのです。

せめて比例区だけは、女性や若者を前面に立てればいいのに、重複立候補なんて誰が考えたんでしょうね?

 

『女の国会』(新川帆立著・幻冬舎)は、そんな政界の様子を描きながら、それを取り巻く新聞テレビの記者や議員の秘書までもが男性中心であることの問題提起をしています。この作者が組み立てる舞台設定は、とても面白いんだけど、事件に踏み込んでいくと、まるでリアリティーがなくなってコントみたいに薄っぺらくなってしまうのが残念です。誰か相談に乗ってあげればいいのにねぇ。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 20点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 15点

【読後感】爽快感・オススメ度 17点

【合計】85点