「STAP細胞はあります」で世間を賑わせたリケジョの星は、その名前が珍しいので、今でも記憶に留めている人が多いことでしょう。
耐震偽装で責任を問われ収監された一級建築士も、聞いたことがない苗字であり、親戚から全く相手にされなくなったのは間違いないと思う。
世の中というのは、本人のやったことでないとしても、親戚筋の起こした事件や犯罪に厳しくあたるので、思った以上に影響力が及ぶものなんです。できれば名前を変えてしまいたい。そうしないと、立ち直るのが難しくなってしまいます。滅多にいないような珍名さんほど、気をつけた方がいい。そういうものです。
『境界線』(中山七里著・宝島社文庫)は、東日本大震災で行方不明になったままのリストを手に入れて、その人の戸籍を乗っ取るというストーリーです。いかにもありそうな話、いや、実際にあるのかもしれません。
中山氏はどんでん返しの帝王とされているので、今回も最後に何か仕掛けがあるのではと思いましたが、そういう小細工は一切なしで、細やかな心理描写に徹していました。面白かったです。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 19点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点
【読後感】爽快感・オススメ度 18点
【合計】90点