昨夜、BSTBSの『報道1930』を見ていたら、合計特殊出生率が2、95で、少子化対策における奇跡の町として取り上げられている岡山県の奈義町が紹介されていました。2005年時点では1、41だったものが、なぜ一気に上がったかというと、町外から子育て世代がドドっと流入したためです。
奈義町の高い出生率を支えているのは、全国屈指の充実度を誇る財政支援だと言います。
出産したら町から一律10万円の祝い金が支給され、町内に新築住宅を建てれば20万円を補助。町内の業者に施工を頼み、入居者が5人以上いれば補助額は100万円上限に跳ね上がる。在宅育児を行なう世帯に対しては、子供一人につき「月1万5000円」、高校生がいる家庭には生徒一人に「年13万5000円」の就学支援金が支給され、高校生以下の子供の医療費は自己負担ゼロ、小中学校の補助教材費は無料、毎月の給食費の半額を町が助成し、大学進学のために町が低所得世帯に用意する奨学金は無利子で、大卒後にUターンすれば貸付額の半額が返済免除になる…。
原資となる財源確保のために、議員定数と役場の職員数を減らし、民生委員会など当時40以上あった委員会の報酬や公共事業費も大幅カット。こうして捻出した1億6000万円を子育てと教育のために使うと決めたのです。
とまぁ、ここまで見た限り良いことずくめ。一つ気になったのは、取材に対応しているのが副町長だってことです。何で?
そこで、ネットで調べたところ、町長は昨年文春砲にパワハラで追い詰められていました。
なるほど、極端な政策を実現させようとすると、反作用が起こるわけで、この20年間、子育て支援の予算を増額し続ける町政に「私たちにはメリットが少ない。なんで若者ばかり?」とストレスを募らせる高齢者は少なからずいたのです。
加えて、首を切られる側の不満が当然にありまして、そういう話よりも分かりやすいのがパワハラ問題だとばかりに文春砲が利用されました。
パワハラねぇ。
直近の兵庫県知事選もそうだし、恫喝が明らかになった泉房穂元市長のケースもそうだけど、今までの流れを壊して新しい政策を実行しようとしたときに、パワハラっぽい姿勢が浮き彫りになるのは何となく想像できます。
上に立つ者は揚げ足を取られないように注意すべきなんですけどね。既得権益を突破しようとすると、どうしても軋轢が生まれる。これは、非常に難しい問題だけど、政治はプロセスじゃなくて結果だと思います。だから、改革断行派の首長の姿勢は、かなり緩めにプラス評価しているのであります。