例えば、疲れて家に帰ったとき、「おかえりなさい」と森高千里が待っててくれたらどうでしょう?
普通の男は、その緊張感に耐えられません。
だけど、江口洋介はへっちゃらなようです。25年にわたってひとつ屋根の下で暮らしてきたわけだし、多分、家でも正解しか出さない習慣が染み付いている。
妻が山口智子の場合、どうでしょう? イメージだけど、浮気も許してくれそうだし、ワガママな要求をしそうもない。けど、夫婦で他人の悪口言ってそう。イメージですけど。
それが、江口洋介と唐沢寿明の違いだと思うんです。つまり、役柄だとしても正義しか演じない江口洋介と平気でダークサイドを覗かせる唐沢寿明の違い。
山崎豊子原作の『白い巨塔』をそんな風に思いながら、TVerで見てます。財前助教授は悪いやつだなぁ、それに比べて里見助教授は何て純粋なんだ?と。
「なんとか教授の回診です」と言いながら、後ろにゾロゾロついていくシーンが実際の大学病院の中であるかどうかは知りませんが、その後の医療ドラマには、大きな影響を与えたこと、間違いありません。
実際に、縦割り組織の中でのリーダー争いは、猿山のボスみたいな話で、すんごく意識されているようです。
医者の世界は、大病院で勤務医の道に進むか、開業医となってガッポリ稼ぐかの二つに分かれます。
金銭的には開業医が恵まれている(ことが多い)んだけど、いつまで経っても下請け感は拭えない。
大病院、特に大学病院の場合、研究に没頭できるし、切磋琢磨する同僚が大勢いるので、いち早く正しい情報に辿り着くことができるし、進化し続ける自分を感じることが可能です。だけど、病院内の序列がハッキリしていて、狭い人間関係の中でぐるぐる振り回されるのに耐えねばなりません。どんな仕事も簡単にはいかないのであります。
(つづく)