保険会社で社会公共活動部門を任されたとき、創業記念日を地域住民に対する感謝の気持ちを込めて、自社ビルを開放した上でさまざまなイベントを行う『ファミリーデー』というのを企画しました。
土日の二日間にわたり、社内のあちこちにラウンドワンみたいなプレイスポットを設置し、会社にゆかりのあるタレントさんたちに協力してもらって、将棋塾やアカペラ教室やパントマイムセミナーに大道芸とバザー、それに全国47都道府県から名物饅頭を取り寄せたまんじゅうこわい選手権などと盛りだくさんです。
その中で、最終日を締め括ったのが「トンカチプライス」です。これは、当時とんねるずがテレビでやっていた『ハンマープライス』を模したもので、有名人から提供いただいた品物をオークションにかけるという趣向です。萩本欽一さんのコマ劇場で行う時代劇コントへの出演権とか永六輔さんに直筆で名刺を書いてもらう権利とかアカペラユニット『トライトーン』に卒業式で歌ってもらう権とか、それなりに頑張って捻り出しました。
当時のボス(つまりは社長)は、この話に乗ってくれて、長嶋監督にノックしてもらう権か優勝のビールかけに参加させてもらう権を考えていると言ったらば、直ぐに讀賣新聞社に連れて行かれたのを鮮明に覚えています。秘書室長が笑いながら対応してくれて、松井秀喜が使っていたサイン入りバットとグローブを渡され、これで勘弁してもらいたいと。
流石にこんなテーマで直接会うことはできませんでしたが、これがナベツネさんとの想い出(?)です。
享年98歳。大往生ですね。合掌。