TOHOシネマズの場合、場内に持ち込める飲食物は結託しているマクドナルドのものに限っていて、どう考えても作り過ぎだと思うキャラメル味のポップコーンが鬱陶しい。特に両隣りにそれを持ち込まれると、デパート一階の香水売り場よりも不快感が持続します。
上映前に、携帯を切れとか隣同士で喋るなとか座席を蹴っ飛ばすなとか言ってるけど、半径5メートル以内のキャラメル味は一つだけと決めて欲しい。そう思いませんか?
年内の映画納めは染井為人原作の『正体』でした。
この本は、ここ数年のうちに読んだ小説の中でもナンバーワンと思えるもので、冤罪がテーマなんだけど、登場人物それぞれの心理描写が絶妙で、今年のサンジョルディの日、友人に押し付けまくった一冊です。
映画は、内容がかなり変えられており、それはそれで別の作品として仕上がっていました。面白いものです。文章の力に及ばないところを映画的手法で補うってところが見どころであり、刑務所で面会するシーンを遠めから撮影するんじゃなくて、アクリル板に映った映像によって内面を描くというテクニックに心を動かされました。
まぁ、小説は文庫本で600ページ超えというボリュームなので、それを2時間に収める難しさってのはあるでしょう。
にも拘らず、主役の横浜流星が演じ分けたキャラの七変化や、女優的オーラを出さず(出ず?)、平凡な中では最高峰の渇いた色気たっぷりの吉岡里帆、山田杏奈の演技がお見事でありました。面白かったです。