言葉狩りが進んで、直接的な侮辱表現は抑えられているものの、ちょっと賢いメディア関係の人々が、簡単には分からないような絶妙な線を突いて、言葉を操っているように思います。
その典型が「情弱」で、古い辞書には載っていない、中高年世代に難しい単語です。
正式名称(?)は情報弱者。意味は、情報資源に満足にアクセスできない人や情報を充分に活用できない人を指すもので、ホリエモンっぽい人はアホの言い換えとして多用しています。情弱だと、世間に蔓延しているような詐欺事件に同じ手口で巻き込まれることがあるわけで、世の中の急激な変化に対応できないのはヤバいだろうってことなんです。
今どきは、ネットから得られる情報がテレビや新聞を凌駕し、その中身も玉石混交なもんだから、油断なりません。
何を信じるかというのは、詰まるところ人だと思うんだけど、それだって全部正しいとは限らないし…。
だから、何か新しい事象が起きたときの判断材料として、反対の立場も含めた多様な情報源を持つべきだと思うのです。
毎年恒例のお正月番組として外せないのが、NHKの『あたらしいテレビ』です。
ここでは、その年に飛躍するであろう若者にスポットを当てて、密かに話題になっていることやこれから流行るであろう社会現象についての予言の書となっているんです。
世代間ギャップは如何ともし難いですからね。特に子供を持っていなかったり、疎遠になっていたりすれば余計にそう。時代に取り残されがちです。なので、番組の出演者に注目し、関連ワードを探っていくのであります。
今年の出演者は、以下のメンバーでした。
麻布競馬場(直木賞候補『令和元年の人生ゲーム』作家)
田中 良樹(FNS27時間テレビ『日本一楽しい学園祭』ディレクター)
ヒコロヒー(お笑い芸人)
山中 瑶子(『ナミビアの砂漠』映画監督)
吉田 恵里香(『虎に翼』脚本家)
明日菜子(ドラマウォッチャー)
宇垣 美里(フリーアナウンサー)
大島 育宙(東大卒芸人・映画テレビ評YouTuber)
TaiTan (ラッパー・クリエイティブディレクター)
印象に残ったのは、57分に凝縮されたアニメ『ルックバック』を題材に、映画の尺が2時間だというのは時代に合わなくなっているという話や全てが言語化される今の世の中に抗するような存在感を持った女優・河合優美を語る場面であるとか、テレビで切り取って使う時の制作者側と視聴者側が共犯関係を結びつき過ぎていて、場合によってはウソ情報が蔓延していくような危うさがあると喝破したTaiTanのコメント力です。
この人の言葉のチョイスが凄まじく、ラッパーという仕事の言語能力の高さに震えました。
そして、2025年のそれぞれの推しは、
蛭田直美(脚本家)
WEBメディア『オモコロ』
高石あかり(女優)
XG(日本人7人組ガールズグループ)
などといったところが挙げられています。
一時間足らずではありますが、今の時代がギュッと詰め込まれているのでお見逃しなく。NHKプラスで8日まで観ることができます。