旧約聖書の『創世記』の中に、地上でくりかえされる争いごとに嫌気がさした神様が、全てをやり直そうと大洪水を起こす「ノアの方舟」という話があります。 世界のあらゆる陸地を沈めてしまうんだけど、その洪水に耐えられる方舟(はこぶね)を作って、ノアの家族とあらゆる動物のペアを一組ずつ乗せ、もう一度、世界を作り直すというストーリーです。
なんだか分かったような分からないような話ですが、人間の不完全さを取り上げつつも、もう一度のチャンスを与え、神を信じなさいと結論づける強引さは、宗教に名を借りた洗脳だなぁと思ったりします。最後は神の思し召しで片付ける手法。信じる者は救われると。傲慢だねぇ、キリスト教。
『方舟』(夕木春央著・講談社文庫)は、とある山奥に違法に造られた地下建築物に閉じ込められた10人が、そこから脱出するために誰か一人を犠牲にしなければならないという状況をめぐる物語です。
設定自体に無理があるし、そこかしこに不思議だらけなんだけど、意外にも世間的な評価が高く、週刊文春2022年ミステリーで国内部門の一位に輝いています。印象としては、私が子供の頃に読んだルパンやホームズの話にも似て、使い古されたような稚拙な(ベタな)感じながら、あまり読み慣れていないミステリー初心者にはウケるのかもしれません。私はダメでした。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 15点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 12点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 15点
【読後感】爽快感・オススメ度 14点
【合計】72点