流石に東大卒でてっぺんにたどり着く専業のお笑い芸人に心当たりはありませんが、慶應大学出身の高学歴芸人が普通に出てきました。
令和ロマンの二人をはじめ、真空ジェシカの川北茂澄、コットンの西村真二、オリエンタルラジオの中田敦彦…しかし、何と言ってもその先駆けとなったのは、ふかわりょうでしょう。小心者克服講座に見られる自虐的な一言ネタは、独特の世界観を作り出しました。
「エ?割り箸も洗うの?」
「お前ん家、天井低くない?」
「だから、お前にカルピス作らせるの、イヤなんだよ」
当時、つぶやきシローと並ぶあるあるネタの二大巨頭だったのを思い出します。普通の漫才やコントのスタイルが恥ずかしかったんでしょうね。ふかわりょうの立ち居振る舞いは、他の奴らと一緒にしないでくれ的なものを感じます。承認欲求の塊であるような。面白いんだけどハネないのは、自分のことを好きすぎるからでしょうね、きっと。それ、中田敦彦にもある。もしかしたら、慶應ボーイのプライドってことかもしれません。
そのふかわりょうが言語学者の川添愛と共著で『日本語界隈』(ポプラ社)を出しました。
二人の会話で進む丁々発止は、ふかわりょうが頑張ってるなぁって感じです。俺ってこんなに勉強してるぞをグイグイ出してきて、川添愛がちょっと引いている。このあたり、古舘伊知郎が専門家の懐に低姿勢で飛び込んでいくのとは対照的です。知的なコンプレックスを感じてしまいました。いや、勉強してるのはわかるんですけどね。
ところで、標題の「界隈」ですが、「風呂キャンセル界隈」という言葉で若者たちに一気に広まりました。
もともとは、精神的な病気でお風呂に入ることができない、という方たちの間で使われていたのが、シンプルにお風呂に入ることが面倒ということに対する共感の声があったことから、ここまで話題になったと考えられています。誰が見つけてきたんでしょうね。若者の言語感覚の鋭さに舌を巻いています。日本語界隈とは、よく言ったものだなぁ。