プロ野球選手の引退後については、なかなか大変で、安定を目指すとなると、壁はより高いものとなります。
その受け皿として、一番多いのが、スタッフとしてそのチームに残ることで、サラリーマンで言うところの窓際族みたいなコーチがたくさん存在しています。広島やヤクルトは、その傾向が特に強く、そういうチームに他球団から能力を買われての転職組はほとんどいません。純血主義みたいな考えは、チーム愛を高める点での意味はありますが、ただいるだけの存在では劇的な化学変化は起きにくくなっています。
ファンたちは、ちょっと打てなければ打撃コーチを変えろとか、ピッチャーが打たれ出すと投手コーチを変えろなどと騒ぐけど、当事者は溜まったもんじゃない。それで、ころころ変わってしまう監督よりも、フロントのキーパーソンと繋がって延命を図る、そういう世界です。引退後もずっとその地位を守り続けているコーチは例外なく人格者です。その代わり、波風が立たないように目立たないことを良しとします。
ソフトバンクやオリックス、西武みたいに親会社が大企業であれば、関連会社への転職の道も開かれます。ただし、収入は落ちますし、異業種で生きていくための能力も必要とされるので、大卒選手の方が潰しが利く。そういうことも含めてのドラフト戦略だったりするわけです。
ひと昔前は、そこそこの実績を残した選手には、解説者への道が開かれていました。
しかし、定年のない世界なので、すぐに頭打ちとなってしまう。加えて、テレビ・ラジオの放送も減ってますからね。
そこへ現れたのが、YouTubeチャンネルです。お笑い芸人もそうだけど、うまくいった場合、安定した収入源となります。
高木豊、古田敦也、宮本慎也などが、持ち前の話術を活かして、多くのファンを獲得しておりますが、何と言ってもしゃべりが上手いのが里崎智也でしょう。キャッチャー出身ならではの技術論もさることながら、本当に硬軟の知識が幅広い。野球が好きなんだなぁと思わせます。
昨夜の『あちこちオードリー』には、野球解説者特集ということで、鳥谷敬・糸井嘉男・里崎智也の三人が招かれていました。
その中でも毎日全試合をチェックしている里崎氏のエピソードトークは秀逸でありました。
「解説者の多くは注目している球団に偏りがあるので、交流戦になるとその情報量の違いが如実に表れる」
「ロッテに入団したのは、当時18連敗してヘボいチームだと思っていたのに、入ってみたらみんな上手くてビックリした」
「12球団で唯一ロッテだけが、女性アナウンサーと結婚した選手がいない」
「幕張だと、試合後に飲みに行く選手はいない。博多や札幌と違う。交流戦でセ・リーグが勝てないのは、そのせいだ」
「解説者が二人いて、違う内容を言ってしまう場合には、キャッチャー目線で言うとと断りを入れるように気を遣っている」
どんなタマが飛んできても、キレイに打ち返していたのです。
さすがに、毎日全試合をチェックする野球漬けであり、YouTubeで表現しているだけのことがありました。