今季からカープ攻撃陣のスタイルが変わりました。好球必打の早打ち一辺倒から、粘りの選球で相手投手を追い詰めていこうとする方針変更です。具体的に見るため『プロ野球を楽しむためのランキング』というサイトから、三つの指標を拾ってきました。
まずは、一打席あたりの平均投球数から。一般に4、0を超える打者は、勝負が遅い、狙い球を絞ってくるタイプと言えそうです。カープでは、昨季5人いたのが、今年は7人に増えています。
野間峻祥4、7 二俣翔一・矢野雅哉4、3 田村俊介・會澤翼4、1 末包昇太・石原貴規4、0
間もなく戦列に復帰する坂倉将吾・秋山翔吾もじっくり球を見極めようとするタイプなので、しつこさに拍車がかかりそうです。
次に、ファウル率から。これは、2ストライクを取られてから、ファウルを何球打って粘ったかをみる指標です。昨年、矢野雅哉がドラゴンズの涌井秀章投手に対し、22球を投げさせたのは記憶に新しいところであり、ピッチャーにとってはポーンと打たれるよりも、ダメージが残ることがある、嫌な数字です。今季は、二俣翔一が1、24という高い数値を叩き出しました。彼は、週末に行われた阪神戦で村上頌樹投手に1イニング54球を投げさせたきっかけとなる立役者ですが、二割にも満たない打率ながら、一番打者を任されている理由はそういうところにあります。
そして、フルカウント率。これは、それぞれの一打席あたりのフルカウントまで持って行った割合の指標です。
今どきの野球は、外野守備の向上により、二塁にランナーがいてもワンヒットでホームに返って来れないことが多く、だからこそ二死一二塁の場合、フルカウントまで粘ればエンドランの状態を作ることができます。ということは、3-1のカウントでヒットを打つよりも、一球待った方が得点に繋がる可能性が高いと考えるのがセオリーなのです。相手投手の球数を多くさせることで、失投の確率も高くなるわけで、フルカウントを作れる打者は優秀だってことになるのです。それで見ると、會澤翼21、7 末包昇太18、8 矢野雅哉18、6 がチーム内のベスト3です。
これら三つの指標は、単体であれば、どうってことのないものですが、チームの一貫した方針となると、とても厄介です。
昨季まで、リーグでも屈指の早打ちであった小園海斗までが、平気で2ストライクまで待つようになったのも大きな変化と言えるでしょう。
SNSではこうした粘っこい攻撃スタイルのことを阪神ファンが「ゴキブリ野球」と呼んで話題にしておりましたが、相手に嫌がられるのは、むしろ大事なことなので、褒め言葉として受け取っておくことにします。