先日、BS朝日の巨人阪神戦を観ていたら、前阪神監督の岡田彰布が解説をしていました。
もう67歳で、ユニフォームを着続けるのには無理があるけれど、ボソボソと語る一言ひとことは説得力の塊で、たいしたものだと感心させられました。江川卓や中畑清とは次元が違う。見えている量が違うってこと、思い知ったのです。
もし、自分が監督だったらという視点でゲームに入り込んでいるからなんでしょう。ちょっと前まで現場にいたってとこ、解説者には大事な視点でありまして、グラウンドから5年以上も離れている人は、感覚がズレているような気がします。よっぽど取材をすれば別だろうけど、OBって現役から煙たがられますからね。そうこうしているうちに、技術論を語ることが少なくなって、その分トーク力でカバーするようになる。おそらく、それは講演で小銭を稼ぐからで、解説者に中身を磨こうと努力している人は、ほとんどいないのが実情であります。
特に日テレなんか、バラエティさながらの変なクイズを持ち出したり、亀梨なんとかみたいな専門家じゃない人を連れてきたりしてるけど、そういうことじゃないんだなぁ。ちょっと前まで監督やコーチをやっていた人が解説すれば、野球観戦はもっと面白くなると思うのです。
亜細亜大学時代に侍ジャパンの井端弘和監督と一二番のコンビだった元NTT東日本監督の飯塚智広氏による『野球IQを磨け!勝利に近づく観察眼』(ベースボールマガジン社)を購入しました。
選手一人ひとりが観察する習慣を持って、自分の野球観を疑いながらアップデートするように説いており、野村克也の教えに通じるような内容でありました。将棋指しがするように、野球でもその試合を振り返って、感想戦をするのが大事だと。そういうことをチーム全体の習慣にすれば、試合を経験するたびに、2倍の効果が生まれるように思います。それって、あらゆる団体スポーツに通じることかもしれません。
脳内ダブルヘッダーだとして、夏の甲子園で行われた富山商業対鳥栖工業の実際の試合経過を追いながら、ポイントとなる点について問題提起して部員たちと一緒に考えるというのが例として掲載されておりました。いわゆるケーススタディです。
野村克也の著作に『野球は頭でするもんだ!』があったけど、確かに「復習するは我にあり」なのでございます。脳内ダブルヘッダーねぇ。