高校時代、私の成績はクラスで下から数えた方が早い劣等生でした。
文系の科目は、中学までの貯金で何とかしていたものの、数学や物理化学に生活をしていく上での意味を見出せず、絶望的だったのです。
授業中、教師の話がうわの空の上、家でもほとんど教科書を開かないので、試験前の一夜漬けには限度があったと思い出します。
言い訳すると、当時夢中になっていた将棋は、勉強との相性が極めて悪く、連日部活で3時間も頭を使っていると、クタクタになり、意欲が湧かなくなるんです。運動部のヘトヘトどころじゃない。
調べたわけじゃないけれど、トップ棋士の多くは、落第するほどじゃないにせよ、学業はほどほどだったと思います。勉強するぐらいなら、将棋をする方が楽しい。部活の仲間もそんな感じでした。医者になったやつもいたけど、そういう人は途中から顔を出さなくなりました。そういうもんです。
だから、「学生時代、将棋ばかりやってました」と言うと、「だったら頭いいんだ」と反応されるけど、少なくとも成績が良かった人は、ばかりの中にはほとんどいません。だけど、振りをします。そう見えるんだったら、その方がいい。
私の場合、頭が63センチありますからね。そういうことにしておかないと、アメ車みたいだと思われてしまいます。実用的でないと。
いやぁ大変なんです。実際はアホなのに、賢く見せるのって。
で、会社勤めを始めてからどうしたかと言うと、本をたくさん読んでるアピールをしました。
本棚が10個あるとか、一ヶ月の書籍購入が平均2万円だとか。これは本当なんですけどね。
そうこうしているうちに、語彙が増えて、それなりに話題が広がるようになりました。将棋にはなかった副次効果です。
そこそこ賢いと思ってもらえると、任せても大丈夫の信用マークが貼られます。これがブランディング。会社ではこれが大事なんです。学生時代にちゃんと勉強していれば、そんな努力はいらなかったのに、何だかスゴく遠回りした気がしています。