「人間界隈騒然」のコシマキに釣られて朝井リョウの話題作『生殖記』(小学館)をAmazonで購入しました。
スゴいタイトルですよね。書店だったら、ちょっと恥ずかしい。内容も、まさかの生殖に関するもので、主体となって語りかけてくるのが人格を持った生殖機能だというのに気付くまでには時間がかかりました。何せ文章が難解なんです。一文が長い。漢字が多い。
「学校、家庭、企業、地域、社会、国、世界-どの共同体も、均衡や維持、或いは拡大や発展や成長、それらのうちのどれかを目指して活動している、ということです。これは、もはや目指しているという意識すらなく、発生した瞬間には自然とその方向へと動き出している、デフォルトでそのような設定が組み込まれている、というレベルの話です。というか、私こと生殖本能が種の保存を目指すべく全生命体についており(それに呼応する心身かどうかは別にして)、その生命体の集まりが共同体なのですから、当然っちゃ当然の話です。発生したその瞬間から次の一秒を生き延びるため生命体が呼吸を始めるように、共同体は発生したその瞬間から崩壊や縮小を回避すべく均衡や維持、或いは拡大や発展や成長を目指します。目指すというか、もうそういうものなのです」
ぷふぁー。なんか息を止めながら読んでいるような…
「否定形の意思表示って、誰にも見えないんですよ。どんどん外界を遮断して、自分から独りに逃げ込んで、色んなことを“してやらない”って決めて、それで世界を否定した気になっても、周りから見ればそれって、ただそこにいる人なんです」
友人にこんな風に語られたらイヤだなぁと思ったけど、周りにはいませんわな、こんな喋り方の人。ってか、あるんでしょうね、この言葉が通じる人たちが住む世界。
で、ネットのレビューを見てみると、あるはあるは賛辞の嵐。それにしても理解のレベルがすごくって、そういう解釈なんだとビックリです。
こういう良さがわからないのは、知能が低いのか世代の問題なのか?
私には、ちょっと合いませんでした。『正欲』までかなぁ?
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 15点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点
【読後感】爽快感・オススメ度 14点
【合計】79点