東野圭吾の作品は、テレビや映画への映像化がリンクしているものが多く、シリーズによって阿部寛・福山雅治・木村拓哉の顔がパッと浮かぶようになっていて、メディアミックス戦略がハマった代表的な成功例と言えるでしょう。
読者は小説を読みながらも脳内でタレントへのイメージ変換を行い、物語を立体的に感じ取っているであろうし、その確認のために映画館へ行って二度楽しむってことが、あちこちで起こっていることと想像します。
マスカレードシリーズの映画は、まだ二本しか出ていませんが、木村拓哉の圧倒的な存在感と長澤まさみの真っ直ぐな演技で、彼らしかないという世界観を醸し出してくれました。また、作者もそんな風に意識して書いているに違いない。そう思います。
『マスカレード・ゲーム』(集英社文庫)は『ホテル』『イブ』『ナイト』に続くシリーズ四作目です。同じホテルが何度も殺人事件の舞台になるなんて、無理があるような気がするけど、それをうまいこと繋げていくのが匠の技ですね。感心します。
そして、今回も大勢の登場人物一人ひとりを無駄なく描ききって、大団円に向けて収束、伏線回収させていくってところ。やっぱり、東野圭吾は一人じゃなくて数人の役割分担の中で作られているような、そんな気にもさせられてしまう。これは、褒めてるつもりですが、違うかな?
いやぁ、面白かった。この作品も近いうちに映画化されるんでしょうね。楽しみです。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 19点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点
【読後感】爽快感・オススメ度 20点
【合計】94点