何となく習慣で大谷翔平はどうなったかとBSにチャンネルを合わせると、古田敦也が熱く日本のプロ野球を語っていました。
番組表を確認したところ、これは『レジェンドの目撃者』という番組の再放送らしい。プロ野球の歴史を彩る名選手の伝説的なプレーや人間性に「目撃者」の証言から迫り、その秘密を紐解くドキュメンタリーだということです。
この日は、名球会入りを果たしたアレックス・ラミレスが主役でした。
日本で13年にわたり現役を続けたのもスゴいし、その間に2,017本のヒットを記録、100打点以上は8年連続であの王貞治を上回り、打点王に輝くこと4度、本塁打王2回の首位打者1回、生涯打率は3割を超えています。驚いたのはDeNAの監督を務めたこと。それまでも外国人監督は何人もいましたが、彼らはメジャーでのマネジメントを評価されたもので、ラミレスのようにプレーヤーから持ち上がったのは初めてです。当時、ライバル球団のイヤな選手ってことで、ほとんど情報を持っていなかった私は、ホームランを打った後のパフォーマンスが全く笑えず、タダの単細胞・野球バカだと思っていたので、そんな選び方で良いわけないと冷ややかにみていました。
だけど、番組の取材で彼のクレバーさとひたむきさが明らかにされていたのです。
来日当初、メジャーリーガーであった彼は日本の野球を下に見ていましたが、日本投手の制球された変化球主体のピッチングに驚かされ、フォークボールに対応するため、練習で徹底してワンバウンドを投げさせるなどして、対応できるようにしました。コーチの意見にも素直に耳を傾けるようになる。郷に入っては郷に従うです。
初めは、狭い日本の球場を見て、これならホームランを量産できると思ったのですが、低めにコントロールされた投球を振り回すよりも、コンパクトに打ち返す方が良いと打点重視の考えに切り替えました。
そして、そのためには相手捕手のクセを見破るのが早いと、対戦前のスコアブックを徹底的に読み込んで、ビデオでもチェックするなどして備えます。投手じゃなくて捕手を研究しようとするアプローチが新鮮でした。試合を支配する要素の70%はメンタリティーで、残り30%がフィジカルだとの考え方のもと、メンタル強化のために「相手を研究し準備する」ことが不可欠であると繰り返し訴えていたのも特徴的です。
また、真面目すぎてガチガチになる日本人の精神性にも言及しています。
ラテン系の乗りは、終わったことをクヨクヨしないのが基本なので、ベンチにスマイルを持ち込もうと。そうして生まれたのが「アイーン」や「ゲッツ」のパフォーマンスでした。みんなでワイワイやることで、プレッシャーから解放されて、チームが一つになるんだと、ポジティブを振りまきます。周囲はいつも笑顔で溢れていました。
なるほど、みんなに愛されていたのが、よくわかったし、だからこその監督就任でありました。5年間で336勝337敗ですって。野球殿堂入りも納得です。