「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、野村克也がよく使っていた言葉です。
負けた時の原因をしっかり分析し、反省することが大事だと戒めたのだと思います。
それって、運の話にも通じています。
つまり、運がいいってのはあるけど、運が悪いってのはない。自分が蒔いた種であると考えるべきだと。
そう考えた方が、人生がうまくいくんです。運はその人に取り憑いたものではなく、その時々の考え方にくっ付いているのだから、一生モノではありません。雨男なんていない。雨男だと思い込んでいるだけのことなんです。
『逃亡者は北へ向かう』(柚月裕子著・新潮社)は、 東日本大震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらも生き別れた父親を探すため、姿を消した男と、自らの家族も被災した一人の刑事が、執念の捜査で容疑者に迫っていく物語です。
男は殺人まで犯すような人間も根っからのワルではなく、ちょっとしたきっかけで悪い方向に進み出し、止まらなくなっていくのが悲しい。
多くをさらけ出して、聞いてもらえるような存在が近くにいないと、歯止めがきかなくなるというのがよく分かりました。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 15点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 19点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点
【読後感】爽快感・オススメ度 19点
【合計】88点