出入国在留管理庁が公表しているデータによれば、昨年六月末の時点における在留外国人の総数は、約360万人となっています。
国別では中国が一番多く、以下ベトナム・韓国・フィリピン・ブラジル・ネパール・インドネシア・ミャンマーと続きます。
資格別では、もはや日本人と言っていい永住者が90万人で、その後に技能実習生が42万人、そして技人国と言われるいわゆるビジネスピープルが40万人、留学生が37万人となっています。急速に数字を伸ばしている特定技能は25万人。つまり、言葉は悪いけど、出稼ぎに来ている中長期滞在予定者が67万人ほどいて、我が国経済の下支えをしている計算となっています。
ただし、それぞれの内訳は、都道府県別で全く数字の構成が変わってきます。つまり、都会と田舎とでは、国別・資格別の中身が違っていて、一律に語ることが難しいんです。
外国人へ向けた日本語の教科書は、東京発信でいわゆる都会向け。万能であること、オーソドックスに教えようとするので、留学生向けの回りくどい内容となっています。これを全国の日本語教室で使っている。喩えるなら、大学向けの教科書で小中学生に教えるようなもので、脱落者を生みやすい理由にもなっているんです。
『日本人の知らない日本語』(海野凪子著・KADOKAWA)は、日本語学校で教える先生の体験を漫画で表現したもので、現場で働く教師たちに圧倒的に支持されています。そのドタバタしている様子が面白い。
だけど、敬語や難読漢字や助数詞など、多くの日本人でさえ正確に答えられないような話を突いているサマは、クイズ番組のようでもあり、そういう教え方は大学で勉強する留学生を意識したもので、現実的でないと思うのです。だってそうでしょう? 日本人の知らない日本語を教えることに、何の意味があるのか?
おそらく、日本語学校開設当初、生徒の多くが中国人や韓国人で、漢字という壁に対する抵抗感が希薄だったこと、何より現場で働くような技能実習生ではなく、大学で学ぼうとする留学生が主体であったため、高度な内容に昇華していったのだと推察しています。根本が違う。
教師の重要な役割は、動機付けです。生徒本人をその気にさせること。そのためには、対象者のレベルを出来るだけ揃え、競争させるような環境づくりがとても大事だと考えるのであります。