都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

電話恐怖症

私が勤務していた保険会社は代理店制度を採用していたので、顧客と直に接することが滅多になく、内勤の仕事は電話対応が基本でした。

最初に配属されたのが給付部というお客様から病気連絡を受ける特殊なセクションだったため、現場配属までに、みっちりトレーニングを積み重ねます。いわゆるロールプレイングというやつで、やってることは舞台役者と同じ。セリフが決められた台本から始めて徐々に離れていく。声に表情を乗せるようになれば、合格です。

これには向き不向きがあって、成績優秀のガリ勉タイプより、キャピキャピしているギャルっぽい方が、メリハリが効いて、共感性の高い応対が出来るのです。IQよりもEQとでも言うんでしょうか?電話にはさりげない芝居っ気が必要なんです。男性でも女性でも、同性にも異性にもモテるってとこがポイントではあります。社交的な人間は、百戦錬磨だからです。

私はモテないタイプだったけど、生来の理屈好きでそれを乗り越えて、新人の電話教育を担当するまでになりました。教えれば教えるほどに気付きがあって、磨かれていきます。究極の電話対応は、相手の表情が見える、テレビ電話の状態を作り上げることだと考えています。ボールが止まって見える川上哲治の境地です。

 

最近の若者は、電話が苦手だそうで「電話恐怖症」なる診断名も生まれていると言います。

不思議ですね。携帯電話の普及によって、より身近な存在になっていると思いきや、恐怖ですと。

いやいや、私だって、社会へ出たては不慣れなこともあって苦手でした。けれど、そんなことを言ったら、苦手だらけです。経験したことがないものばかりですから。トライアンドエラーが仕事だと思っていました。

で、その実態を探るべく『東洋経済』に寄せられた記事を読んでみると、三つの要因がまとめられておりました。

(1)リアルタイム性への不安

(2)圧倒的な経験不足による自信のなさ

(3)言葉の責任感に敏感

なるほどねぇ。学校教育における正解主義が行き過ぎた結果、間違えることがとんでもなく恥ずかしいことと捉え、炎上することがあってはならぬと周囲の眼を極端に気にするのが根底にあるようです。

上司に叱責されるよりも、同僚の視線の方が怖いってのは、イジメを遠くから見ていた経験に基づくのでしょうか? 失敗するくらいなら、何もしない方が良いと考えるのは、ブラックユーモアとしか思えないんだけど、これはもう世代間のギャップとしか言いようがありません。

空振りするくらいなら見逃し三振の方がいいだなんて、まさかねぇ?