今まで生きてきた中で、私の周囲に歌舞伎好きであることを公言していたのは一人だけでした。
そういう集団は、全くタイプの違うところに固まっているので、情報が集まって来ないんです。
歌舞伎のイメージとしては、文化的な生活を好むお金持ちで、歴史はもとより古語に理解を示す教養豊かな人間で、倍速再生なんてやったことがないような、おっとりしたお上品な人々だと思ってます。
演者については、世襲制で幼い頃から厳しく育てられ、反動で半グレとも付き合ったりする。若い頃からタニマチみたいな旦那衆から資金援助を受けるごっつあん体質で、遊び相手は花街の女性。ストレスが溜まっていてセクハラ・パワハラが当たり前で、朝の情報番組を追い出されるイメージでありました。
そもそも観たことがないので、分かってないことだらけです。国宝って私のことかもしれません?
歌舞伎という名称の由来は、「傾く(かたむく)」の古語にあたる「傾く(かぶく)」の連用形を名詞化した「かぶき」だと言われています。
戦国時代の終わりから江戸時代初頭にかけて、派手な衣装や一風変わった異形を好んだり、常軌を逸脱した行動に走ることを指した言葉で、そうした者たちを「かぶき者」と呼びました。そんな「かぶき者」の中から、斬新な動きや派手な装いを取り入れた独特な「かぶき踊り」が一世を風靡し、これが今日に連なる伝統芸能「歌舞伎」の語源となっているのです。
また、江戸時代には、女性の舞台出演が禁止されていたため、男性が女性を演じるという独特の文化へ発展しました。いわゆる女方(おんながた)ってやつで、白塗りの化粧、きらびやかな着物、かつらが欠かせなくなっています。宝塚と真逆の世界。
ってな感じの基礎知識を頭に入れて、話題の映画『国宝』を観に行ってきました。
上映が三時間。値段はほかのと一緒ですから、得した気分にはなります。
舞台で演じている様子を画面を通して見る形というのは、作品中の演技を下手に行うのが定番ですが、こちらは本物以上に本物と見せなくてはならず、主役の吉沢亮をはじめ、出演している役者たちは、さぞかし練習を積んだことでしょう。プロってスゴいなであるし、監督の細部にわたるこだわりを随所に感じました。
業界にまつわる独特な風習を散りばめながら、色彩や音楽にもこだわりがあって、役者の演技を支えていたのも見事です。面白かった。
それにしても、ネットどころかテレビもない時代に大衆演芸というジャンルを捻り出したってところ、驚かざるを得ません。
創作のストーリーに音楽と踊りを加える。そして、それを理解する人がいたということ。どうやって告知したのかも含め、興味は尽きないのであります。
この映画がきっかけで、本物の歌舞伎を観に行く人も増えることでしょう。業界を挙げて全面協力した甲斐があったと思います。
梅沢富美男は、この映画、観たのかなぁ?