2003年に福岡で実際に起きた事件をもとに描かれた綾野剛主演の映画『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』を観てきました。
冤罪をテーマとした映画は、殺人や痴漢などで数多く表現されていたように思いますが、教師の生徒に対するイジメってのは、初めてなのかもしれません。贔屓だとか仲間外れの助長など、消極的な関与はこれまでにあったかもしれないけど、直接的な体罰ですからね。双方の見解が「やった」「やってない」で真っ二つ。そのことが法廷で争われるというのが前代未聞の事件でした。
昔は悪いことをして教師に引っぱたかれるなんて当たり前のことでしたが、今の時代、そんなことをしようものなら、一気に形勢が逆転します。
きっかけを作ったのが子供だとしてもですよ。先生は、銃を持っていない保安官みたいなもの。暴力の牙が自分へ向かってきたとしても、なす術がありません。嘘でも核兵器を持っていることにしないと、洗脳されたアホな生徒からやられっ放しになるという、大人のイソップみたいなストーリーなのです。恐ろしい。
劇中では、印象操作に加担したマスメディアのことも強く批判しています。
学校や教育委員会が、マスコミに対して逃げの一手なので、メディア側はますます調子に乗るわけです。
昨日の『国宝』と違って、映像や音楽へのこだわりが感じられず、ストーリー展開の一本勝負。けど、うまい具合に引き込まれていきました。事実は小説よりも奇なりと言いますが、こんなことがあるんだとのホラーミステリーの佳作です。締めのところ、あっさりし過ぎていたようにも思ったものの、充分に満足しました。