今は全く興味がないんだけど、社会人になって間もないころ、プロレスに夢中になっていたことがありました。
それは、村松友視のエッセイ『私、プロレスの味方です』(情報センター出版局)に出会ったからです。
衝撃を受けたのは、この一文です。
「プロレスは八百長だし、ルールを守らないから嫌いだという人がいるが、それではルールとは何かを考えた場合、ルールこそがみんなが認めたお約束、つまり八百長である。プロレスはルールを平気で無視するので、八百長から最も遠いスポーツなのだ」
強烈な屁理屈なんだけど、私は腑に落ちました。
そうかそうか。ルールこそが八百長なんだ。プロレスの楽しみ方は勝敗じゃない。鍛え上げられた身体の強さを味わうものなんだ、と。
コーヒーの苦味の良さを理解したのと同じような感覚が広がったのです。
以来、電車の網棚に置かれた東スポを拾い読みするようになりました。自分で買ったときは、そっと網棚に置いて…。よく分かりませんが、そういうジャンルなんです、東スポとかプロレス。
いやぁ、お化け屋敷なんか必要ありませんでした。鉄の爪フリッツ・フォン・エリックとか吸血鬼ブッチャーとか大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントとか。アラビアの怪人シークなんか、サーベルを持ち込んでましたからね。狂ってるとしか思えない。だけど、一線は超えません。
そういうのは、ジャイアント馬場が率いる全日本プロレスの脚本によるもの。
対するアントニオ猪木率いる新日本プロレスは、ストロングスタイルを打ち出して、競技性を追求していきました。当時、スタン・ハンセンとブルーザー・ブロディが強かった。そのころ、もう一人活躍していたのがハルク・ホーガンです。髭が印象的でした。
享年71歳。合掌。