前にも書いたことがありますが、私の父は広島カープ担当のスポーツアナでした。
幼稚園に通う前から、小学校一年の夏休み前まで3年ぐらい広島の比治山のふもとに住んでいたのをうっすら覚えています。
父はときどき、カープの二軍選手を連れて来て、酒盛りをしておりました。貧乏だから外で飲むなんて贅沢がかなわず、親父も薄給だったので家飲みです。確かトリス。ツマミは、ハムとチーズ程度の質素なものだったけど、明るく楽しく騒いでいたのです。
私はいろんな状況を飲み込めていないものの、大人の客人がやって来ると、お祭りが始まったようになるのでワクワクして、選手の膝の上にちょこんと乗っていました。だから、生粋のカープファンです。理屈なんてない。
父の転勤に伴い、小一の二学期は、東京・大田区の学校へ転校しました。新しい環境にドキドキしたけれど、今みたいに子供が擦れていませんでしたから、程なくして馴染みます。言葉はずっと標準語だったので、変に目立たなかったというのもあったかも。
その後、母方の実家が建て増しして一緒に住むことになったため、三学期は三鷹の小学校へ。かくして、経験値がグッと上がり、まったく物怖じしない性格が完成しました。ちっちゃい波瀾万丈です。
タイトルに目を奪われて、今さらながら重松清の『赤ヘル1975』(講談社文庫)を購入しました。
昭和50年、カープ球団がセ・リーグ初優勝した事実をもとに、そこへ重ね合わせるようにして、登場人物が集められています。
やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。
まずもって、時代や土地の背景を子供目線で語らせるのが面白い。読者のほとんどは、よそ者ですからね。そこの部分を噛み砕いているのがテクニックです。友達のことを「仲間」じゃなくて、地の言葉で「連れ」と表現してるのもほっこりします。そういうとこ、重松清だなぁ。
戦後30年の年として、原爆の爪痕があちこちに残されていた様子も、しっかり描かれていました。
そして、時系列を追いながら実名で頻繁に登場する選手たち。試合結果のどれもが実際にあった話で、野球は筋書きのないドラマであると改めて思わされました。外木場義郎、よく投げてくれました。ありがとう。
市民球団である広島カープは、他のチームとは存在が違うんです。歴史観がないと語り合えない。改めてそう思いました。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点
【読後感】爽快感・オススメ度 20点
【合計】92点