私が二十代の頃の話ですが、横浜の営業所に配属された時の上司は、気仙沼出身の素朴で真面目な人でした。
大学を卒業するために、ダンプの運転手をしながら学費を稼いでいたそうで、遠洋漁業が主体の地元では、誕生日が同じになることが多いというウソみたいな話を聞かされていたのを思い出します。
そんな彼の嫌なクセは、自席で聞こえよがしに大きなため息をつくことでした。それもしょっちゅう。
部下を厳しく叱責するようなことは全くというほどなかったのですが、これって結構堪えます。
営業所全体をどんよりとした空気が覆う。怒鳴られるよりも、きつかったのが記憶として残っています。
そういうのを最近では「不機嫌ハラスメント」というんだそうです。略して「フキハラ」。不機嫌になることで、周囲の人に気を遣わせるため、人間関係のトラブルへ発展するといいます。フキハラの人は、周囲が悪いと考え、また、周囲の人も自分に非があるのかもと錯覚する傾向にあるといいます。
フキハラの人は、気持ちを言葉で表現するのが苦手なため、不機嫌さの原因となっている相手に思いを伝えられなかったり、周囲に相談できなかったりするらしい。そんな場合、不機嫌さがいつまでも処理できず、周囲に理不尽な形で表出することが多いのです。
今思えば、気仙沼の上司は言いたいことを我慢して、自分を抑え込んでいたんでしょうね。だから、ため息が大きく漏れる。無意識なんだと思います。
指導しても無駄だと思われていたこちらにも非があったのかもしれません。昔の話です。