給食の想い出と言えば、三角食べです。
おかず、ごはん、汁物を規則正しく順番に、三角形を描くように食べる方法のことで、我々が子供の頃は常識でした。
そうすることで、仮に途中で食べきれずに残したとしても、栄養バランスがとりやすいことや、口内調味(口の中でご飯とおかずを混ぜ合わせて味わう)ができることなどのメリットがあります。
一方で、三角食べには、よく噛まずに飲み込んでしまうというデメリットがあります。 ごはんやおかずを汁物と順番に食べることにより、無意識のうちに食べ物を流し込んでしまうということ。今は言わないんだそうです。
食文化研究家の玉村豊男が書いた『食卓は学校である』(集英社新書)で、日本人特有の食事の摂り方を「一緒喰い」と定義しておりました。
ご飯と一緒におかずを食べる口内調味は、欧米人にはできないと断言しております。
例えば、アメリカ人が白いご飯を食べる場合、醤油をかけて味をつけてからにするんだそうです。白飯に続けて味のついたおかずを口内に放り込むような芸当ができないんです。なぜなら、子供の頃からそう躾けられてきたから。
逆の例で言うと、ワインを飲む時にチーズを一緒に流し込もうとすると、それは信じ難いマナー違反だと。
欧米では、フルコースでないごく普通の家庭料理でも、一品ずつが饗応され、そのお皿を確かめるかのように時間をかけて食事する習慣となっていて、日本のように食事全体が一気にテーブルに並ぶようなことはありません。聞けばなるほどです。一般的な日本人の平均夕食時間はせいぜい15分ぐらいですからね。
家族との会話のやり取りも含め、大きく違っているところらしい。
欧米人の食事スタイルを玉村氏は「ばっかり喰い」と呼んでおりました。なるほど。そういう知識は、あった方がいいかもしれないと思ったりしています。