回転寿司のCMで、マグロ祭りなどと煽り立てておりますが、マグロと言ってもいろいろあるわけで、知らずに食べてると損するかもしれません。
私は、下関の唐戸市場に仕入れで7年間通い詰め、それなりに魚の事情を知っているので、書いておこうと思いました。
マグロは刺身界のトップに君臨していると思われがちですが、それは本マグロ(またはクロマグロ)のことです。
カウンターのお寿司屋さんで出されるトロや赤身は、黙っていてもこれのこと。それ以外の種類が出されるなんてありません。
中トロなんか、一貫500円で提供しても赤字になるほど高級なので、そればかりを注文する客はメチャメチャ嫌われます。
そして、マグロの格を値段順に並べると、クロマグロ→ミナミマグロ→メバチマグロ→キハダマグロ→ビンチョウマグロとなります。
スーパーで売っているマグロの赤身とは、メバチマグロのことで、クロやミナミが売られることは、まずないと言っていいでしょう。
キハダやビンチョウは、缶詰となることが多く、大衆食堂なんかでデカ盛りとして登場したりするけど、味的にはカツオよりもだいぶ下だと思います。一般論です。
これからフグが美味しい季節となりますが、フグについてもいろいろあって、世間的に認知されているのはトラフグのことです。
山口県なんかだとスーパーでフグ刺しを800円ぐらいで売ってたりするけど、これはナゴヤフグとかショウサイフグという種類であって、ちょっと別の食べ物です。ちなみに、いくら産地だからと言って、一般家庭で夕食にトラフグが出るなんてことはありません。特別な食べ物なんです。
魚については、名前の付け方がその土地によって違っていたりで、知らないことだらけなのが普通です。
鮮度が命なので、ちょっとでも早く売り捌こうとするが故に、あくどい商売人に引っ掛かると、粗悪品を高値で掴まされたりします。魚河岸は、良い人と悪い人が混在していて、それを見極める人間観察の修行の場となっていました。