テレビ東京で始まったドラマ『コーチ』があまりにも面白いので、原作である小説(創元推理文庫)をAmazonで購入しました。
堂場瞬一によるもので、二部に分かれていて、第一部では3人の刑事に指導する先輩との人間模様を描いた短編集。第二部は、その3人が異動で一緒になり、指導していた先輩刑事の抱えていた闇に迫るという構成となっています。
その中の先輩刑事のセリフから。
「最近の若いやつは、言われたことしかやらないって、よく言うじゃないか。俺は必ずしもそうは思わないけど、そういう人が増えてきたのは間違いない。人の命令に従うだけなら楽だよな、自分では何も判断しなくていいのだから。でも、若い頃から人の命令に従って動いているだけだと、一生そうなってしまう。誰かのご機嫌を伺って、ひたすら指示待ちで、他人の道具にしかなれない人生だよ。そして、道具はいつか壊れる。そうなったらお払い箱だ。スペアはいくらでもあるんだから…そうならないための方法を1つだけ教えておくよ。相手が誰であっても、どんな話題でも、自分が先に言ってみることだ。飯の誘いでもなんでも、自分はこう考えてる、こうしたいって言うことを口に出してみるといい」
これは沁みました。
議論の上手い人は、話の口火を切ろうとはしません。後から言う意見の方が、説得力が増すからです。カズレーザーや成田悠輔はそのスタイルです。だけど、それは議論の時の立ち位置です。
実生活においては、判断の連続が求められる。だから、何をするにも常に先手を繰り出そうとする。それが、考える習慣を持つということです。
受け身の人生では、人の上に立つことは難しいという話。大いに共感しました。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点
【読後感】爽快感・オススメ度 19点
【合計】90点