邦画史上最高傑作の一つだと思う『砂の器』がBSプレミアムで放映されました。
映画の後、田村正和・佐藤浩市・中居正広などが犯人役で、何度もテレビドラマ化されているので、今さらストーリーを語る必要はないでしょうが、どの作品よりも映画の本作が一番の出来栄えだと思います。それは、松本清張原作の小説よりも上でして、なぜかと言うと、主題となる『宿命』という壮大な音楽が有効に使われているのと、その曲に乗せて進行する無言劇の印象の強さ。そういうのは、作家がどんなに頑張っても表現し切れるものではありません。監督・野村芳太郎、脚本・橋本忍及び山田洋次という組み合わせが、清張超えを成し遂げています。
役者としては、丹波哲郎主演ってことになるんでしょうけど、私は緒形拳の演技に痺れました。
凄惨な幼少期を過ごした少年が、クラシックの世界で一気に頭角を表すなんてあり得ないし、犯罪の証拠となる被害者の血のついたシャツを切り刻んで列車の窓からばら撒き、その新聞記事を読んだ刑事が捜し出すという無理筋があるものの、それ以上に圧倒的なプラス要因が、名作を支えています。いやぁ、素晴らしかった。