『仁義なき戦い』の映画を見終えると、みんな菅原文太みたいな顔になって映画館から出てくると言いますが、ヤクザものの小説も同じようなところがあって、読後しばらくは感化された状態になります。
どうしてそうなるかと言うと、大きいのは独特の言葉遣いにあるんだと思います。
日常から切り離すための広島弁あるいは関西弁。標準語だと雰囲気が出ません。世界観が違う。
それと、ジャーゴンと分類される仲間内言葉。これも一般人との間に垣根を作っています。日本語なんだけど、異次元へと入り込むのが面白い。
『破門』(黒川博行著・角川文庫)は、2014年の直木賞受賞作品です。
黒川博行は、1949年生まれの老作家ですが、元々は大阪府立高校の美術教師だったってところが風変わりなプロフィールです。
天は二物を与えたんですね。そのせいか文章表現が絵画的で、暴力シーンが妙にリアルに感じられます。
本作は、500ページを超える長編ですが、ずっとヤクザさんの日常に付き合わされるのが不思議と言えば不思議。よっぽど、おかしな知り合いが近くにいないと、こんな風に描けないんじゃないかと思ったりしました。
だけど、流石の直木賞です。没入感満点でありました。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点
【読後感】爽快感・オススメ度 19点
【合計】92点