男性の作家は、女性を描くのがなかなか難しい。そりゃ、そうです。
自分よりも上の母親世代は造作ないことでしょうが、同世代、あるいは下の若い娘を主人公にだなんて、余程の修羅場をくぐってないと、書けるもんじゃないと思います。語るのと描くのとは違う。
だけど、誉田哲也という人は、女性の主人公ばかりを描いています。代表作の姫川玲子シリーズは、まるで生きている人かのように多くのファンがついています。ちょっと強烈なキャラですけどね。ドラマでは、竹内結子が演じてました。
そして、そこからのスピンオフとして作品化されたのが魚住久江シリーズです。名前からしてそうなんだけど、姫川玲子と違って、すごく普通の40代の女性刑事。女性刑事は普通じゃないと突っ込まれそうだけど、言動の全てが姫川と違って想像の範囲内に収まっています。ドラマでは、松下由樹ってとこ、綺麗な人ではあるものの、普通っぽくもある。
『ドルチェ』(誉田哲也著・新潮文庫)は、その魚住久江シリーズの第一作、6作が収められた短編集です。誉田哲也は、女性心理を描くスペシャリストであると同時に短編の名手でもありました。それぞれの無駄のないまとめ方が見事で、上手いもんだと感心しております。さぁーっと読めるのは、キャラ設定と会話のリアルっぽさが優れているからこそ。脱帽です。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 19点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 19点
【読後感】爽快感・オススメ度 18点
【合計】90点