私が通っていた広島の安芸幼稚園では、折り紙の時間と同じように木琴が必修科目(?)になっていました。
楽器としては結構難しいと思うんだけど、子供ってのはやらせればできるもんで、みんな器用にバチ(マレット)を捌いていたように思います。
この木琴を運ぶ際にカバーが付いていまして、男の子用はブルー、女の子用はピンクでした。中身は同じだけど、ランドセル的な発想ですね。
で、私には二歳上の姉がおりました。二年保育だったので、重なることはありません。それで、私の入園に合わせて、新たな木琴が買い与えられるようなことはなかったのです。姉のをそのまま引き継がされた私は、コソコソと木琴を運ぶようになりました。
ある日のこと、担任のクボタエコ先生は、何を思ったのかみんなの前で突然に、
「ケン君(私のこと)はえらいわねぇ、おねえちゃんの使ってるのねぇ」
と言い出しました。
もちろん、タエコ先生に悪意はありません。ピンクカバーの木琴を使う私のことを健気に思ったのでしょう。文句も言わず、親の言うままに従う子供。だけど、生涯忘れない、恥ずかしい瞬間でした。今だったら、どうってことないんですが、幼稚園児はメンタル弱いですからね。涙が出ていたような…。
当時の子供たちは貧富の差について言及することはなく、見て見ぬふりをしていたような消極的な優しさがあったとも思ったりします。
メガネのつるが折れたとしても、ガムテで補強して平気だった子が普通にいました。昔は良かった、であります。