都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

青天

中三からラグビーをかじった私は、デビューの遅さもあって、周囲とのセンスの違いを毎日痛いほど感じておりました。だから、そのまま高校で続ける気にならず、ちょっとずらして高校デビューが多いアメリカンフットボールだったら行けるんじゃないかと部室の門を叩たいたのを思い出しています。

アメフトはラグビーと違い、防具やユニフォームが洗練されていて、ピカピカ輝いて見えたのです。ラグビーの練習着が雑巾みたいなのに対し、プラスチックはキラキラしてますからね。先輩たちが、みんなカッコよく見える。女性が着物を着ていると器量が三割増しになるのと似てますよね。これはモテるかもしれない。

ところが、私が被れる63㎝のヘルメットがないことが分かり、部内は騒然となりました。「そんなヤツ、いるハズ…」

プレーをしないうちに話題の人となった私は、次の日将棋部へ入部しました。

 

オードリーの若林正恭が書いた自伝的青春小説『青天』(文藝春秋)を読みました。

実体験を元にしたであろう主人公が所属する高校の、弱小アメフトチームにおける人間模様が題材になっています。

一流選手のサクセスストーリーはたくさん紹介されているけど、弱いチームの本質を抉っていくような切り口はあるようでなく、勉強もスポーツも恋愛も上手くいかず、イライラしている様子が巧みに描かれています。不良にさえなれない中途半端さ。

たまに、倫理の女性教師が登場し、哲学的な話を交わすところがアクセントになっていているのが面白い。

アメフトって変わったスポーツで、水野弥一監督の時代には、あの京都大学が何度も日本一になっておりました。ノーベル賞の京大ですよ。野球みたいに高校からのエリートを集めるようなやり方でなく、運動神経がそこそこ良い選手を鍛えた上での成果。それは、陣取りゲームであるが故に、計画的に動くフォーメーションを用意するのが重要で、体力勝負でありながら、実は頭脳戦でもある側面があって、そこがたまらない魅力でもあるのです。そんなことが事前知識にあると、多分、もっと面白くなるんですけどね。ルールが分からずに読むと、結構苦痛な人もいるかもしれません。評価が難しい作品です。

ちなみに、タイトルの「青天」は、相手からまともにタックルされてひっくり返り、天井(青空)を仰ぎ見るような状態になることを指したアメフト用語です。背中を地面につけられることは、自分の実力不足を意味するため、選手にとっては屈辱的だとされていますが、やられてみると、結構気持ちが良かったりします。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 17点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 16点

【合計】83点