昔、勤務していた保険会社では、事故受付の連絡を受けると「サスペンス・シート」と呼ばれる受付用紙へその内容を記録するルールとなっておりました。何の疑いもなく、その用紙を「サスペンス」と呼んでおりましたが、不幸な連絡だからドキドキするのが理由だと思っていたのです。
ところが、ある日、上司から「サスペンス」とは英語で宙ぶらりんの状態を意味しているのだと教わります。サスペンダーってあるだろう?と。
電話連絡の段階では、確定した事実じゃないから、それを記録する用紙が「サスペンス・シート」。なるほどねぇ。
その日から、スリルとサスペンスの理解がグーンと深まりました。
『署長サスピション』(講談社ノベルス)は、今野敏の藍本小百合署長シリーズ第二弾です。
今野敏は、警察ミステリーで安積班や樋口顕などがドラマ化されている人気作家ですが、阿岐本組の任侠シリーズなどユーモア系でも、なかなかの手練れです。藍本署長は、近寄るとクラクラするような超美形という設定。それだけで、キャラが勝手に動き出し、筆が冴えるようです。
「サスピション」とは漠然とした不信感を意味する言葉。「ミステリアス」に近い疑惑・疑念のニュアンスみたい。
無防備で笑えますが、ちょっと冗長であるのは否めません。登場人物は、とても魅力的ですありました。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 17点
【合計】85点