2024年12月4日、アメリカの医療保険大手ユナイテッドヘルスケアのCEOであるブライアン・トンプソンが、マンハッタンのミッドタウン路上で撃たれて死亡するという事件が発生しました。殺されたのが大手保険会社のトップだったことから、犯人は医療費が払えない経済的に困窮した人物ではないかと同情論が高まり、医療保険業界に対する不満が噴出するきっかけとなったのです。
しかしながら、実行犯であるルイージ・マンジョーネは名家出身のエリートで、ペンシルベニア大学卒業後はコンピュータサイエンスのスペシャリストとして活躍していたといいます。そのことが分かっても、彼の人気は衰えません。今やセレブ並みの注目を集め、毎日ニュースを賑わせており、まるでホアキン・フェニックスが演じた映画『ジョーカー』のような扱いになっています。
起訴が報じられると、今度は弁護士費用の募金活動が活発化しました。匿名の支持者が何千ドルも寄付したというから驚きです。
反対に、事件後逃走中の彼が店に来たことを警察に通報したマクドナルドの店員は、ネット上で誹謗中傷されました。SNSでは逮捕現場となった店舗はもちろん、マクドナルド全体が大炎上。「カウンターの後ろに巨大なネズミ(密告者の意味)がいる」「キッチンはネズミだらけ」という悪意剥き出しのレビューが投稿され、さらには彼を逮捕した警察官に対する脅迫状が届くということにも。
アメリカにおける不完全な健康保険制度に対する不満は、極限までに達しつつあるのを痛感しています。
そして、犯罪者を英雄視するアメリカ社会の歪みにSNSの影響が強く働いていることに驚きを禁じ得ません。犯人に対する共感を可視化し、拡散を促している。それって、トランプ大統領の存在もそうですから…。
ジョーカーねぇ?トランプねぇ?