中国に対して、マイナスのイメージを持っている人は多いと思います。
それに引きずられるようにして、中国人が嫌いだという人も多い。
その大きな理由としては、知らないっていうのがあるんじゃないでしょうか? 知り合いに中国人がいない。いたとしても、ほとんど会話したことがない。
私は、中華街の隣町で暮らしていたし、勤務先の保険会社にも数人が働いていたこともあって、中国人のことを良く知っています。
これは、外国人全般に言えることですが、日本で働こうとしているのは極めて優秀な人が多いです。
逆に考えてみてください。日本を離れて、海外で活躍する日本人は、平均よりもずっと上の志を持っている。そういうものです。
例外はありますよ。そんなのなんだってそう。だけど、多くの外国人は、意識が高いです。付き合ってみれば、分かります。
ただし、だからと言って、人口比が逆転するほどに、外国人が増えてくると、それは脅威でもある。
総論賛成、各論反対なのかな? 自分でもよく分かっていないところがあります。モヤっとしてます。
『一滴の沈黙』(相場英雄著・文藝春秋)は、そういう日本の社会を抉り取った話題作です。
いつの間にか、経済的に取り残された我が国は、中国の植民地となりつつあって、それは教育環境からじわじわと侵食されているのだと思い知らされました。ひと昔前、人口14億の中国には、一億人の富裕層がいると冗談みたいに言ってたけど、今や日本人のトップレベルに匹敵するような中間層ですら、圧倒的多数であることが、いろんな現象となって表れています。タワマンの一棟買いもそうだけど、これだけ多くの(優秀な)中国人が日本へ進出してくると、ビジネスは中国人同士で成立してしまうということ。もう誰にも止められません。
いやぁ、ビックリしました。登場人物の全てを無駄なく描き切って、この国が抱える問題点を浮かび上がらせる社会派ミステリー。こんな作品に出会えて幸せです。多くの人に読んでもらいたいなぁ。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 19点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 20点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 20点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 20点
【合計】99点