都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

正負の法則

保険会社の広報部時代、非営業部門については管理が甘々で、自由にやらせてもらっていたので、毎日を文化祭みたいな気持ちで過ごしておりました。急成長を続けていた会社は、予算が潤沢で、旧来の手法にとらわれず工夫すれば、いくらでも可能性が引き出せたのです。

そんな中で、見つけたのが、広告代理店ごっこです。

 

保険会社が行うイベントは、業者に丸投げするのが慣例であり、常識だったのですが、どうもその中身が気に入りません。

一般に広告代理店の取り分は15%が決まりとなっていて、そこに経費削減の概念が全くと言って良いほど、存在しないんです。むしろ、費用が高いほどに15%が膨れていくから、出来るだけ大きな見積もりを出してきます。バイトの人数は多めだし、お弁当は高め。ちょっとしたことで、下請けを使い、丁寧に大げさに仕事を広げていく。受ける側は、相場を良く知らないもんだから、言いなりにされてしまうんです。その準備段階として、接待や贈り物があります。

広告代理店って、そういう世界なんですね。普通の営業の世界とは、手法が違う。いろいろ知り尽くしたプロが、肩書きのある素人を垂らしこむという寸法です。なかなか手に入らない有名アーティストのチケットを貰ったりすると、業界に足を踏み入れた気になりますからね。私には通用しません。

 

向こうがその気なら、その15%を削ってみてはどうか? いらなくない? 広告代理店。

イベントの交渉は、直接タレント事務所に電話しました。これが結構、繋がります。むしろ、簡単でした。保険の営業よりも、よっぽどハードルが低い。いくらでも交渉の余地ありです。広告代理店なんかより、圧倒的に腰が低い保険会社は、ビックリするほど受け入れてもらえるんです。

で、大物タレントへの講演依頼が続々と成立します。

そのうちの一人が美輪明宏さんでした。

彼(彼女?)とは、合計で4回、松江・佐賀・徳島・東京でイベントを行っています。

いや、良い関係を保ったのは事務所の社長となんですけどね。いろんな想い出が甦ります。コンサートや舞台にも、関係者ヅラしてたくさん顔を出しました。楽しい仕事でした。

 

今でも強く印象に残っているのは、あちこちで繰り返し唱えていた「正負の法則」の話でした。塞翁が馬と同じ意味で、良いことと悪いことの繰り返しが人生だってこと。そういうの、後の『オーラの泉』みたいなスピリチュアルにも関係するんだけど、瀬戸内寂聴っぽくもありました。

こちらが用意した楽屋には、結界を張るように持ち込んだ段幕を張ってお香を焚き、独特な音楽(『傷だらけの天使』での岸田今日子みたいな世界観)を流し、なんとも言えぬ独自の世界を創り出す謎の人。刺激に満ちておりました。

享年91歳。合掌。