都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

能面検事の死闘

検事に対してのイメージは、ドラマ『HERO』によってだいぶ歪められておりますが、実際はもの凄く保守的で前例踏襲を良しとする、そういう人種の集まりだと思います。そりゃあ、そうですよね。司法の世界に革新的な思想はいらない。事実から目を背けることはないでしょうが、警察が出して来た証拠以上のものを求めようとはしないと思います。ヒマじゃありませんから。

そういう世界だからこそ、実際にはいろんな隙間が存在するし、そこのところが小説の題材となるのです。

 

『能面検事の死闘』(中山七里著・光文社文庫)は、能面シリーズ 三作め。7人もの人間を次々に殺害し、自らを「無敵の人」と称する犯人の審理中に「ロスト・ルサンチマン」を名乗る者から大阪地検へ宛てた爆破物によるテロ事件発生から始まります。

ルサンチマンとは、主に弱者が自分より恵まれた強者に対して抱く恨みや嫉妬、復讐心などが、直接行動に移せないまま内面に溜まっていく心理状態を指しますが、国民全体がゆっくりと貧困化していく過程において、幸せであろう人が堕ちていく様をザマアミロと思う人が増えているのを見透かされているようで、ちょっとしたホラーです。だから、犯人の気持ちが分かるっていう意見の台頭。完全否定できない自分がそこにいたりします。

いやぁ、いろいろ考えさせられました。でも、面白かったです。オススメします。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 19点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 19点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 19点

【合計】91点