最近の各企業が掲げる企業理念は、合言葉のように、「法令遵守(コンプライアンス)」を取り上げています。
ちょっと前は、「顧客第一」で、どちらもがちゃんとできていないから、そんなことを言うようになったとも皮肉られています。
両方とも、当たり前のことなんですけどね。
そして、この二つの理念がぶつかったときに、優先順位がハッキリしています。
それは、断然、「法令遵守」。
この印籠を掲げれば、お客様にたくさんの我慢を強いることができるというのが、ほとんどの業界における流れです。
これもある意味、納得のいくところで、お客様というものを持ち上げすぎると、巨大なクレーマーを育てることになるというのを学んだばかりですし。
何より、「顧客第一」の気持ちを持ち続けるのは大変なんです。時に、直接の利益を失うから。
その一方で、「法令遵守」は役所サイドが圧倒的な主導権を握る。いわゆる官僚主導です。
本当に大事なのはバランスであって、それを判断するのがセンスというものですよね。
昔、支社の責任者をしていたとき、部下の女性に対して、お客様への接し方について厳しく指導したところ、先物取引の飛び込み営業でやって来たセールスマンへお茶菓子まで出して接遇していたのを見たときは、唖然としました。
外回りから帰ってくると、応接スペースにお客様が。
思わず満面の笑みで、名刺交換してしまいました。
どうも、自分で判断したり、考えたりするのを避ける責任回避の姿勢は、だんだんと目立っているようで、これは、上司が盾になってくれない頼りなさに起因しているようです。
それにしても、九州電力のやらせメール、大変なことになってますね。
企業の中で、そういう動きが出ることについて、私はむしろ当然だと思っています。
株主総会におけるやり方なんて、どの会社もみんな同じでしょう?
メールで証拠が残ったからダメで、言葉による通達だったらいいって話でもないでしょうから。
企業なんて、そんなもの。ギリギリのところで生きているのであります。
ただし、そのスタンスを行政の側や保安院が支えようとしたのは、話が別だと思います。
ここのところ、ハッキリ分けて、糾弾して欲しいんだなぁ。