都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ボンクラーズ③

島朗九段(当時八段)とは、次のような話で盛り上がりました。

  ・将棋界というものが世間とかけ離れており、若者からオシャレでないと切り捨てられている。
  ・女性が興味を持たないものは、男性にも支持されない。
  ・将棋のイベントは、ワンパターンで工夫がなく、ちっとも面白くない。

歯にパンツも穿かせず(?)、勢いに任せて言いたい放題でした。
ところが、人格者の島九段は、フンフンとうなづきながら「まったくそのとおりだと思います」と。
そして、今までにないようなイベントを一緒にやろうとなったのです。

前にも書いたとおり、そのころ私は広報セクションにおり、社会貢献に関連するイベントを担当していました。
そこで考えたのが、夏休みに自社ビルで開催する『将棋塾』です。
受講者には、事前に宿題を出して、FAX返信してもらい、プロ棋士がそれを採点する。
当日の授業は、その答え合わせから始まり、三名のプロ棋士がテーマをもって講義する。
最後に模範対局を。
対局は別室で行い、それを館内のケーブルを使ってテレビ中継します。
ユニークなのは、対局者が二度ずつ、席を外して受講者の前に現れ、たった今、何をどう考えているかをリアルタイムで披露すること。
これは、画期的な試みです。
野球でいえば、対戦前に打者と投手が配球パターンを開陳するのと同じですから。
普通のプロは、恥をかくことになりかねないので、やりません。
って言うか、そんな失礼なこと、こちらからも頼めない。
ところが、島九段は私の提案を楽しそうに聞きながら、「是非、やりましょう」と。
さらに、自分の手伝いとして、森内俊之名人と佐藤康光九段を呼んでくれると言うのです。
会場費がかからないとはいえ、会社には無尽蔵な予算はない。
しかし、これも二つ返事です。

  「棋士の仕事は、対局と普及ですので」

自分たちでやらなければならないことが多く、採点など相当な負担になるにも関わらず即断。
だけど、ほかの先生の都合だって聞いてないし…。

  「そっちのほうは私が手配しますから、企画を具体的に詰めてください。面白くなりそうですね」

普通、夢に思い描いたことなんて、そう簡単に実現しないんだけど、できそうになってきました。

(つづく)