都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ボンクラーズ⑤

将棋連盟会長である米長邦雄氏とは、イベントで二回、ご一緒しました。

  「兄達は頭が悪いから東大へ行った」

の言葉が有名な同氏は、どうすれば運を味方にすることができるかについて、熱く語ってくださいました。
勝負師は、そういう見えない力も手にしようと考えているのが、強烈な印象として残っています。

そんな米長会長が、『ボンクラーズ』というコンピューターソフトと対戦しました。
チェス界では、『ディープ・ブルー』というIBMのソフトが世界チャンピオンを破り、残念ながら人間の敗北を認めざるを得ない結果となっています。
局面が進むにつれて、駒が盤上から消えていくので、コンピューターの計算が容易になるんだそうで、取られた駒が相手の持ち駒として復活する将棋の場合、指し手の可能性がどんどん拡がっていくため、人間に勝つのは難しいであろうと言われていたのに、コンピューターの進化は目覚しいものでありました。
開発者の将棋実力は、アマチュア初段にも達しない低レベルというから聞き捨てなりません。
そんなものに負けてしまっては、沽券に関わるってことなんでしょう。
将棋連盟は、所属する棋士が勝手にコンピュータソフトと対戦することを禁止し、まずは女流プロから、段階的に扉を開いていくことに。
あっさり、女流が敗れると、現役引退して八年が経過する米長会長が、ストッパーとして立ち上がったのです。

事前の準備・対策は、コンピューターの工学博士に意見を聞きに行くなど、同氏らしい周到なものでありました。
随分前から、禁酒も守って体調を整えていたようです。
それでも、『ボンクラーズ』の前に、一敗地にまみれました。
負けてみると、イヤミな名前だねぇ、『ボンクラーズ』。
実践から遠ざかっていたブランクが大きかったとはいえ、コンピューターの実力もまた、認めざるを得ません。
これからの上位棋士との闘いが、楽しみであります。