前から疑問に思っていたのが、大学に進んだ選手のほうが、高校から直接プロ入りし、四年間ファームで鍛えた選手よりも活躍することが多いってことです。
プロ野球よりも大学野球のほうが、レベルが高いってことはないハズですし、練習だって、プロのほうが厳しい。
それじゃ、何故??
プロ野球は不思議な世界で、一軍の試合が144試合であるのに対し、二軍は90試合前後に過ぎず、選手によっては故障もしていないのに、年間10回程度しか打席に立てないケースもあります。
練習も大事だけれど、選手が伸びるのは、実戦経験を積むこと。
だから、今までの二軍のあり方では選手が育たない、と言うのが清武英利氏の持論でした。
そこで、支配下選手の70名とは別に育成選手制度を創設し、三軍を作ることで、対戦する機会を増やす、なんてことを考えたようです。
もともと、スカウトの裏金問題による渡邉オーナーの引責辞任によって、球団代表となった清武氏ですから、原石を見つけて育てる仕組みづくりが急務でした。
そのため、スカウトにはデータに裏打ちされたレポート提出を義務づけ、プレゼン能力を磨くように指導、二軍以下のコーチを増やし、トレーナー・理学療法士・チームドクター・心理カウンセラーなどの連携を密にするなど、現場のバックアップ体制充実に腐心しました。
中部本社の社会部時代に、悲しい記事が一つもない『幸せの新聞』というページを作った清武氏は、正義感の強い“情”の人であったのです。
今日の一冊は『私の愛した巨人』(清武英利著・WAC)です。
全面に溢れているのが、仕事に対するリスペクトという感情。
「たかが選手」の本音が見え隠れする御仁とは、合うハズないのでありました。