『青菜』という古典落語で、お金持ちの旦那さんが植木屋の労をねぎらって、ご馳走するくだりの中に、“井戸で冷やした柳陰”を勧めるというのがあります。
これは、みりんに焼酎を加えたお酒のことで、冷たくして夏場に飲むと、それはもう贅沢そのものといったところだと、説明されておりました。
甘いものは、冷たくするといっそう美味しいってことです。
冷蔵庫のない昔の話ですから、冷たいってことに価値があるし、甘いものも富の象徴だったかもしれません。
ビールもウイスキーもワインもないって状況だと、アルコールなら何でもって考え方があったでしょう。
先日、スーパーでみりんを購入したところ、突然レジが喋りだしました。
「この商品は、年齢確認が必要です」
そうか、昔は柳陰だからなぁ。
でも…
今どき、未成年者が集まって、わざわざみりんを回し飲むなんてこと、ありえますか?
「お前ら、高校生のくせに、みりんなんか飲みやがって!」
そんなに悪いやつらじゃないような気がするねぇ。