『東大一直線』や『おぼっちゃまくん』などのコミック漫画で一声を風靡した小林よしのり氏は、その後、『ゴーマニズム宣言』にて、20~40代の読者層をターゲットとした独特の世相風刺漫画にシフトします。
「ゴーマンかまして、よかですか?」を決めゼリフに、時事問題をスパスパ斬っていく手法は斬新で、主張も分かりやすいため、ロングセラーとして多くの若者に多大な影響力を与えました。
最近では、太平洋戦争を題材として、戦争に参加せざるを得なかった当時の若者たちを全面的に賛美する態度を貫き、各方面に問題提起しています。
近ごろは、アメリカと日本が闘った過去を全く知らない若者がいると言いますから、そういった層にも分かりやすく伝えていく語り部は、必要でありましょう。
そんな彼の最新刊は、『卑怯者の島』(小学館)です。
これは、パラオ・ペリリュー島の日本軍玉砕をモデルにしたフィクション作品ですが、平凡な青年が死の恐怖と勇気に満ちた戦闘行為の葛藤に苦しみながら、同じ人間でありながら、時にはビックリするほど勇敢に、時には恥も外聞もないほど臆病に行動する姿を描ききった衝撃の問題作です。
ぜひご一読ください。オススメです。