都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

弱くても勝てます③

東大合格者数で日本一の開成高校にも野球部があります。
ここの野球部が変わっていて、グラウンドでの練習は週に一度のみ。
いわゆる野球エリートみたいな選手は一人もおらず、キャッチボールでもポロポロやるのは当たり前。
内野ノックなんか、エラーするのが普通であり、そもそもノッカーが空振りする始末だから、試合前の練習を見ていると、その緊張感のなさに力が抜けます。
そこが狙い目だとも。
つまり、相手チームの油断を誘い、打撃戦に持ち込んで大量得点をかすめ取り、コールドゲームに持ち込むというゲームプランです。
実際に、平成17年の夏の甲子園予選では、強豪揃いの東東京大会でベスト16まで駒を進めました。

『弱くても勝てます』(高橋秀実著・新潮文庫)は、そんな開成高校野球部のセオリーをまとめたノンフィクション。
これが実に面白いんです。
なぜって、本当にあったことだから。
選抜高校野球なんかを見ていると、いわゆる素質の塊のような若者たちが、プロ野球も顔負けのような熟練の指導者に鍛え上げられて、勉強する間を惜しむように、ひたすら練習しまくっている図柄が飛び込んできます。
でも、そんなことができる学校は、むしろ限られている。
なので、そういうチームに伍して闘うためには、普通の考え方ではダメだとチームの監督は考えているわけです。
そして、そのことを部員に理解させる。
面白いでしょう。
賢い学校の生徒には、まず、頭で納得がいくように理解させます。
たとえば、

「練習時間が短いので、あえて守備には目をつぶる」
「打順は、力のある者から順番に並べていく」
「投手はストライクを投げる能力が一番。球が速くても、コントロールが悪いと試合にならない」
「普段、グラウンドでやるのは練習ではない。これを実験の場だと考え、仮説と検証を繰り返す」
「サインは気が散るので、いっさい出さない」

斬新すぎて、ビックリです。
この本には、ヘタクソのプレーヤーがたくさん登場するんだけど、そんな彼らが理屈を持って、自己実現を図ろうとするのが面白い。
是非、ご一読を。