その本のコシマキには、こう書かれています。
「落合博満という名前は、食べ物で言えばホヤのようなものであって、あるいはナマコのようなものであって、
はじめて食べるときは勇気が要る。その勇気があるものだけが、落合の歯ごたえ、落合の美味しさ、落合の
苦みのある滋味を味わうことができるのである」
この本の中に、野球は相撲に似ているという一節があります。団体スポーツのような顔をしているが、すべては一対一の闘いであり、守備と攻撃の機会も平等に与えられる。実は、民主主義の権化のようなスポーツで、ライパチ君にも四番打者と同じような権利が与えられている。ほかの団体球技は、強い者、上手い選手にどんどんボールが集められるにも関わらず。落合博満は、そういうところに気付いている目利き、骨董屋の主人みたいなところが、ほかの人と大きく違うのだと看破しております。
そうやって考えると、クリーンアップを打つような強打者も下位打線を支える地味な選手も同じなわけで、補強しようと考えたときに、出発点が違ってくるのです。
わかるかな、原辰徳。
成功の確率を高くする独特の理論が展開されています。
・無闇にベンチを空けるな。試合をしっかり見て、いろんあことを感じ取るのも練習である。
・同じことをしていたら勝てないは間違い。実績のない若手は、同じことを繰り返すことが大事。
・他の選手から学ぶことは多い。投手は野手を、野手は投手を観察せよ。
・オタクとは、他の人が気づかないことにきづける人のこと。野球オタクになってほしい。
・無死一二塁では、二塁封殺を考えよ。タイブレーク導入となれば、なおさらのこと。
・スコアラーから渡された配球チャートを鵜呑みにはできない。自分の目が確かだと自覚させよ。
・どんなに強打者といえど、6割以上は打ち取られていることを忘れてはならない。
・だから、打ち取った打席を分析せよ。ボールを先行させ、3ボールから勝負する手もある。
結果論でホメたりけなしたりする監督が多いなかで、落合博満は、「勝てば選手のおかげ。負ければ監督の責任」だという立場を貫きました。
まぁ、うまくやっても何も評価されず、無表情な監督っていうのも怖いんですけど、どうでしょう?