30年ほど前、萩本欽一さんと話したときに、「最近は、テレビのテロップのせいで、ツッコミがいなくなって、ボケばかりになった」とボヤいておりましたが、時代が進むと、これが変わり、今度はツッコミだらけの世の中になりました。
どうも、ダウンタウンの影響が強いような気がします。
つまり、初期の段階では、ツッコミ方がよく分からなかった。
突き放すだけではダメで、そこにちょっとだけ優しさを加える。
その配合が難しく、ひっぱたいたり蹴飛ばしたり、いわゆるド突き漫才なんかだったわけです。
で、肉体的な実力行使が否定されると、ことばで畳み掛けるしかない。
それには、センスが要求されるので、簡単ではなかったのだけれど、ダウンタウンの登場が、ハードルを低くしたように思います。
『一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)は、芸人であり役者であるマキタスポーツ氏の文化論です。
今、求められているのはツッコまれる人、「ツッコまれ“しろ”」がある人だといいます。
ジェンダーレスなヘアメイクアーティスト、オネエ言葉でしゃべるカッコイイ青年、熱血漢すぎる元テニスプレイヤー、姉妹じゃない姉妹、夫人じゃない夫人…みんなツッコませる隙を作っているボケビジネスマンだと。
なるほど、いろんな見方がありますねぇ。
(つづく)