都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

球界のご意見番

NPB史上、最高安打数を誇る張本勲が亡くなりました。

身体の衰えが著しく見られ、そろそろお迎えが近いとは思ってましたが、つい最近、『サンデーモーニング』に出演していたので、ちょっとビックリです。あの年ごろは、急にってのがあるんですね。とはいえ、私もそんな先の話ではありませんが。

彼の記録を改めて見ると、安打製造機なのでイチローと並んで首位打者を7回獲得したのは、よく知られているところですが、通算本塁打504本は、鉄人・衣笠祥雄と同じ。さらに、通算盗塁数319個は歴代27位で、カープで三度の盗塁王に輝いた緒方孝市の268個を大きく上回るものでした。

そんな張本の弱点は、外野守備でした。それには理由があって、幼少時のヤケドの影響で右手親指と人差し指は完全に伸ばすことができず、薬指と小指は癒着したままだったため、変化球が投げられず、左投げに転向したといいます。しかしながら、類まれな運動神経で投手としても頭角を現すまでとなったものの、先輩の無茶な指導から一日に600球の投げ込みをさせられて肩を壊し、投手を断念した過去がありました。それは、打者に専念できたので、良かったとも言えるかもしれませんが…。

張本勲は、ビックリするほど多くの長所をもちつつ、マイナス面も目立つ存在であったのです。

学生時代における武闘派ぶりは、今では考えられないほど多くの逸話を残しておりますが、これも時代の産物ですね。人種差別とずっと戦い続けた歴史でもありました。

引退後もメディアを通じて思いの丈を飾ることなくぶつけ、炎上することもままあったものの、『サンデーモーニング』出演時にはスポーツコメンテーターとして、他競技のことも非常に詳しく勉強していて、陰で努力する様子がたっぷりと窺えました。とっても純粋で、一途な人だったのです。

享年86歳。合掌。

 

石の繭

昔のJ-POPに『林檎殺人事件』というのがありました。郷ひろみと樹木希林のデュエットで、登場の仕方が奇抜だったので、深くは考えませんでしたが、最初の方で「そうさいっかの〜うでききたちも〜♬」という歌詞があります。当時、捜査一課が殺人事件の担当部門だとは知らなかったので、警察ってイメージがつながらず、一家の腕利きって何だろうとぼんやり思っていました。

『ペッパー警部』にしても、唐突過ぎて何のことだか分からないでしょう? だから、歌詞について深く考える習慣はなく、歌に付随する記号みたいに捉えていたのです。常識がないって、そんなもんです。語彙力が不足してるのも同じこと。

 

『石の繭 警視庁捜査一課十一係』(麻見和史著・講談社文庫)は、副題が示すとおり、警察小説です。

たくさんのミステリー小説を読んできましたが、まだこんな逸材がいたのかと驚いています。

いやぁ、麻見さん、素晴らしい。こんなに多くのヒントを散りばめておきながら、これでもかとばかりに伏線回収していく鮮やかさに感服です。

中山七里とはまた、ちょっと違う考察させる作家でして、これからシリーズの沼にハマっていこうとワクワクしてます。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 19点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 20点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 20点

【合計】93点

大人の見識

阿川佐和子という人は、私よりも少しだけ上の世代ですが、そんなことを感じさせない内面からの輝きをキープしつつ、まさに聡明な女性を演じています。

新幹線『のぞみ』の名付け親だというのも有名な話。何よりお父上が、海軍出身である故・阿川弘之氏で、非常に厳しく育てられたのを自身のエッセイで面白おかしく書いています。小さい頃から、高名な文化人と接する機会が多かったこともあって、いろんな意味で気が回るのは、環境が作り上げたのであろうと思います。感性って、環境によってピカピカに磨かれる、そういうものです。
この人は、不思議と他人に嫌われない才能に溢れていて、言葉の出し入れの達人だと思っています。『聞く力』(文春新書)は、その資質をギュッと詰め込んだベストセラーですが、何より事前学習に余念がないと知りました。そりゃ、そうだ。ぶっつけ本番のわけはありません。

 

生みの親である阿川弘之の文学作品は、趣味に合わない(と思い込んでいる)ので、一冊も読んでおりませんが、だいぶ前に孟子の思想に触れるべく『論語知らずの論語読み』(講談社文芸文庫)というエッセイに出会い、共感したのをうっすら覚えています。

その阿川氏が、私の友人の結婚披露宴で、新郎父親の友人として漫談のような爆笑スピーチを30分も行い、こんな人がいるんだと改めて感銘を受け『大人の見識』(新潮新書)なる本を購入しました。これが2冊目です。

右翼的な思想であるにも関わらず、そんなに偏りを感じさせないのは、海軍上がりだからなんでしょう。愛国主義ではあるものの、陸軍とは路線が違う。同書の中で、太平洋戦争でルビコン川を渡ったターニングポイントは、日独伊三国同盟の締結だと言い切っていました。今ではピンときませんが、当時はヒットラーを賞賛するムードがありまして、ドイツの破竹の進撃を朝日新聞は「疾風枯葉を捲く」と礼賛していたんだそうです。なるほど、そういうことだったんですね。

今と違って、海外の様子なんて、新聞じゃないと分かりませんからね。それを読むのは、一部の知識層。そんな空気に煽られて、おかしな方向へ進んで行ったのは、あるんだろうなと思います。

いやぁ、何かの事象については、一方的な見方にならないよう賛否両論を冷静に聞き分けることが大事なのは、今も昔も変わりません。

アルゴリズムに気をつけましょう‼︎

イコールアース図法

イギリスで世界地図を購入すると、グリニッジ天文台が中央に据えられて、アメリカ大陸が左側、日本は右端に位置されていて、ちょっとだけ驚きます。アメリカだと、中央に位置するのは当然にアメリカ。みんな自分の国を中心に置いています。

面白いのは南半球の国々で、南北が逆転するかと思いきや、普通に北が上、南が下向きに配置されていて、そこはグローバルスタンダードのようです。南半球は殺風景ですからね。それは北が上の方が見やすいです。

 

ところで、現在広く使われている「メルカトル図法」の世界地図は、北や南に行くに従って、実際より大きく表示されていて、おかしいのではないかという意見が噴出し、193ヶ国が参加する国連総会で投票が行われました。結果は、164ヶ国が賛成で、今後はアフリカ大陸などが、より正確な大きさで示される「イコールアース図法」の地図を採用せよということになりました。法的な拘束力はない。

いちのすけのまくら

なぜ続いているのかわからないのが長寿番組である『笑点』です。

スポンサーが、お線香と老人用紙オムツだから、観ている人はそういう人なんでしょうね。あっ、俺もか?

高齢社会に合わせ、出演者が高齢の落語家だから、感覚が一緒だということらしい。

吉本を中心としたお笑いの世界は、50歳を過ぎるとスピードが鈍くなり、センスも古臭くなって、プレイヤーからは少しずつフェイドアウトして行くのが厳しい現実ですが、日曜の夕方だけは特区なんですね。ゆっくりと昔の記憶を辿っていくような…老人ホームで童謡を聞かされているような感じです。

落語界にとっては、よくないと思う。

相撲取りを連れて来て、毎週、初っ切りをさせていくような話だから。

若い人は、あれが落語だと思ってるんでしょうね。ダジャレが主体の親父ギャグが落語。千原ジュニアには、とうてい及ばない。

立川志の輔の弟子も酷いです。何を教わったんだか。つまらな過ぎてビックリします。

どうして落語が行き詰まったかというと、普通にやると30分が必要で、尺がテレビ向きじゃないのと、動きが退屈だから静止画みたいになってしまう。これもテレビ向きじゃない。加えて江戸時代の風習が分かりづらいし、放送禁止用語もいっぱい出てくるところ。まぁ、歌舞伎や文楽ほどではないものの、これぐらいテレビに向かない芸能もあったもんじゃない。加えて演者がおじいちゃん。

 

笑点メンバーで唯一、期待していたのが春風亭一之輔・48歳です。

ボケだらけのメンバーにあって、数少ないツッコミの役回りですからね。いろんな意味で得してると思います。

その一の輔がエッセイを出していると知り、早速取り寄せました。『いちのすけのまくら』(朝日文庫)です。

う〜ん、他の人に話したくなるようなエピソードは、一つだけでした。

ある噺家の師匠が弟子に向かって「帰るから上着取ってくれ」と命じたところ、しばらくして楽屋に鰻重が届いたって話。絶対、嘘だと思いますけどね。こういうの、期待してるんだけど…。

忙し過ぎるんですかねぇ?

近大スピーチ

マグロの養殖で話題になっている近畿大学は、 2014年に日本で最も一般入試の志願者数が多い大学となって以降、11年連続でその座を揺るぎないものにしています。創設者は世耕弘一氏。現・衆議院議員である世耕弘成の祖父であり、近畿大学グループは、世耕一族が実権を握っているのです。生徒数4万人に迫るマンモス校ですからね。ただの教育機関ではなく、巨大産業であると、ちょっと違う目で見ています。

 

その近畿大学をもう一つ有名したのは、卒業式における特別講演です。

その模様を再現したYouTubeの再生回数が3,800万回を超えたと言いますから、広報上手だと唸らざるを得ません。

最初に話題を呼んだのが、ホリエモンのスピーチで、これは私も見ましたが、部外者なのに感動したのを覚えています。

その後もゲストスピーカーとして、ノーベル賞の山中伸弥氏や三木谷浩史氏、秋元康氏など、スゴい人たちが登場しましたが、極め付けは安倍晋三氏です。世耕人脈なんでしょうね。こういう顔触れが、間接的に大学の評判を高めており、そりゃあ11年連続だわと思います。

 

この講演内容を書籍にまとめたのが『近大スピーチ』(Gakken)で、手元に置いておきたくなり、ポチってしまいます。

ほとんど知ってる内容なんですけど、やはり2015年の堀江貴文氏のスピーチが秀逸でありました。要約すると、

「今まではレールの上をただ走っていたに過ぎないが、これからは決められたレールのない世界に突入して行く。これまでのいわゆる普通の生活を送れるのは、ごく一部の人だけ。自分で情報を取りに行き、その情報を自分の頭で考えて発信し、頭の中を整理する癖をつけねばならない。マスメディアや大企業の権威は当たり前から当てにならない時代となった。就職できて安泰だと思っていたら大間違い。グローバル化に危機感を持て。努力しない人は取り残されてしまうと知るべきだ。生き残るためには常識に縛られないこと。チャレンジすれば失敗する確率も上がるが、チャレンジしなければ、成功することもあり得ない。どうすれば未来を楽しいものにできるか? それは、今を一生懸命生きること。未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ!」

10年前だけど、立派な贈る言葉でありました。

 

ところで、こういう本の印税って、誰にどのくらいわたるもんでしょうか?

今が必死なので、ちょっと気になりました。

学習観の変遷(2021/10/24分再掲載)

教育については理論が系統立てられています。

最初の潮流は、たくさんの生徒を一つの教室に押し込めて、先生が一方的に授業を進めていくやりかたでした。学習の主体は教師で、生徒は次々に提示される問題に繰り返し答えていく。身体が自然に反応するまで反復を重ね、習慣を形成するというのが行動心理学に基づいた考え方です。

私の学生時代、英語の授業はそんなだったのを思い出します。

「これは机です」「これは椅子ですか?」「いいえ、ペンです」みたいな実際に使うはずのないフレーズを少しずつ変化させて学ぶことに、何の疑問も持ちませんでした。いや、スポーツもそう。野球にしろラグビーにしろ、繰り返して自分のものにすることだというのが、正しい教え方だと信じ込まれていたのです。

しかしながら、この同じことの繰り返しってやつは面白くありません。飽きる。


一日に500球投げろとか、グラウンドを50周しろとかを受け止めるだけで、やらされている側が何も考えないってのは、どうも…?

 

そこで登場するのが認知心理学の考え方です。

深い知識は、反復練習からではなく、新しい知識と既存の知識が結びついたときに化学変化を起こすとしたのです。ただ覚えるのではなくて、その意味を説明できることが重要だと考えました。人に教えると、実は自分の方が勉強になるってことです。学習の主体は教師ではなくて、学習者の方に移りました。教育業界では、この考え方を認知主義と呼んでいます。学習者主体ってところがポイントです。その場合の教師の存在は、支援者という位置付けになります。

 

最近は、もっと進んで教師と学習者が共同で知識を構築していくのがいいと考えるようになりました。これを構成主義と呼んでいます。

学習者は能動的かつ自律的な存在となり、教師はそれを支えるコミュニティーの一員という感じ。

日本のプロ野球は、行動主義や認知主義の考えで止まっている人が多いですが、メジャーリーグでは、ずいぶん前から構成主義で選手に接しておりました。この次元では、学習者同士が積極的に情報交換するようになります。

そういえば、日本のプロ野球でも、進んでいる選手たちは、数年前から他球団の選手と自主トレするようになりましたね。それが、構成主義の考え方です。自分で、自分に合った考えを組み立てていく。

 

そうやって歴史を振り返ると、教育業界の関係者に限らず、教える立場にある人は、どうやって学習者に接するかを勉強しなければいけないことが分かります。それを評価する人にも、そのセンスを期待したいんだけど、教育を行動主義レベルで簡単に考えている「喝!」みたいな人が、あまりにも多いのが現状なのであります。

プロ野球界でGMが注目されているってのは、そういうことなんだなぁと改めて思いました。