クルマの事故というものは、マイナスにマイナスが重なって、成立するようなところがあります。
ちょっとしたミスは、頻繁に発生しているもので、例えば前方不注意的なことは結構あるんじゃないかと思っています。確認しておきたい情報は、前面だけではありませんからね。富士山や海が見えなくても、すっごくキレイなおねーさんがいたら、目で追います。普通そうです。
並走するもう一台のクルマでも、ドライブスルーで購入したビッグマックに齧り付いていたりすると、その一瞬が事故に繋がったりします。
そう考えると、事故が起こらない方が不思議だったりして、まさに運を転がすのが運転なんだなぁと思うのです。
他のクルマは、みんなちゃんとしてるの前提で、速度オーバーしたり、黄色信号で加速したりするんだけど、そういうのは自分の運の無駄遣いとなって、後々しっぺ返しが来る、そんな気がします。運は減るということ。還暦を過ぎると、そういうのが分かるようになるのです。
『運転者』(喜多川泰著・ディスカバートゥエンティワン)は、歩合制の保険営業に転職した中年の男が、偶然乗ったタクシーの運転手から「運」は〈いいか〉〈悪いか〉で判断するもんじゃなくて、〈使う〉〈貯める〉で表現するものだと諭されます。最初に〈貯める〉があって、ある程度貯まったら〈使う〉が出来る。つまり、後払いだということです。何もしていないのに、いいことが起こったりはしません。周囲から運がいいと思われている人は、貯まったから使っただけのことだと解釈するべきだという話。なるほどねぇ。
こういう抹香臭い話は、若い人の心に刺さりにくいようですが、結構真理を突いているように、還暦すぎると思ったりします。
バカリズムが好んで使う「徳を積む」話にも繋がっており、大谷翔平が「ゴミを拾う」心掛けもそういうことだと納得しています。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 15点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 15点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点
【読後感】爽快感・オススメ度 15点
【合計】77点