都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ダブルバインド

日本の警察小説史上もっとも不運な刑事というコシマキに魅せられて『ダブルバインド』(城山真一著・双葉文庫)を購入しました。

ブルース・ウィリスの『ダイ・ハード』をイメージしたのですが、激しいアクションシーンから程遠い、しかしながら生々しくも不幸な事件が降り注いでくるスピード感溢れたストーリー展開で、一気読みです。いやぁ、面白かった。

 

ダブルバインドとは、アメリカの精神科医グレゴリー・ベイトソンが提唱した概念で「二重拘束」を意味しています。ビジネス上では、二つの矛盾した命令を他人に与えている状態のことを言うそうで、例えば「分からないことがあったら聞いて」と言われたので、その通りに分からないことを聞いたらば、手のひら返しで「自分で考えて」と言われるような話です。

物語では、主人公が続発する刑事事件の中で、我が子の出生の秘密を巡って、にっちもさっちも行かなくなる状況に追い込まれていく、そんな心理状態がタイトルに込められているのです。

「私と仕事、どっちが大事?」みたいな二択が次々に襲ってくるのって、何よりのホラーだと思いました。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 19点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 19点

【読後感】爽快感・オススメ度 19点

【合計】95点