都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

誰かがこの町で

田舎で暮らしたことがある(徳山に6年、下関市豊田町に7年)ので、その経験から言わせてもらうと、都会では考えられないような同調圧力があって、自分たちと考えが相容れないことを知るや、途端に敵対関係へと発展していく構図があります。

そこには、◯と✖️しかなくて、△が存在していません。

選挙のときなんか、その体質が露呈されて、公約などの中身なんか関係なく、支持を鮮明にするのが特徴的です。政治的なことはわかっていないのにですよ。だけど、長老的なその人が信頼する誰かの影響を受けて、投票行動につながっていくのです。そこに、自分の意思は全くない。黙って付いていけば、いいのだと洗脳されている。そういう人が多いのが田舎なんです。

 

『誰かがこの町で』(佐野広実著・講談社)は、新興ベッドタウンで独自のルールがいくつも存在する中、それに反対する者を容赦なく追い出しにかかる度を越した村八分のストーリーです。現実離れしていて、全く受け付けないという人も多いかもしれませんが、排除の論理は、そこかしこで起きており、ハッとさせられるシーンも多いのではないかと思います。

これと似た話を湊かなえの『夜行観覧車』で読みましたし、舞台をタワマンに移したテレビドラマ『砂の塔』でも描かれていました。都会でも起こり得る同調圧力=イジメの人間模様ですね。住民が外国人だったら、余計に偏見を持って見る。怖い話なのであります。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点

【読後感】爽快感・オススメ度 17点

【合計】85点